2012年7月1日日曜日

水月昭道『ホームレス博士』×博士が100人いる村

私がまだ何も知らない大学生だったころ・・・・・・・・・・
大学の先生というのは
みな、大学の先生という偉い人だと思っていた。

定刻になると
陽炎のようにいつの間にか教室に登場し、
そして難しいことを黒板に書き、
たまにビデオとか見せてくれて
鐘が鳴ると、また陽炎のように消えていく・・・

「大学の先生は個性強いなぁ」とか思ったりしたが
その人たちがどんな経緯で先生になったり
どんなに努力しているかなんぞは
考えたこともありませんでした。

しかしながら、似顔絵師をしていた
自分が何の因果か
大学院に入り、その流れで
非常勤講師となって初めて気づいたことがたくさん・・・

*大学の先生はいろいろ大変


*大学の先生は講義することだけが仕事じゃなく
研究というお仕事がある


*大学の講師にも非常勤、常勤、そして常勤にも
任期付き、任期なし、准教授、教授などのランクがある

・・・・・・・そーいえば、大学の時に
古代哲学を担当していた先生が
突然いなくなって、なんでだろ?と
思った覚えがあるけど、
あの人は非常勤だったんかなぁ~

自分が大学生当時は
それくらい、大学の先生を「一括り」にしていて
よくわかってませんでした。

あと、博士号と就職の関係についても
なかなか曖昧。
博士号を持っていても就職できない人もいれば
持っていなくても就職している人もいる。

しかし、いまの時代、
たとえ博士号を取得しても
なかなか就職がないのです。


まずは、このサイトを見ていただきたい↓シュールすぎるよ、この現状。




さて、今回ご紹介する水月昭道という人は偉い。
誰かが言い出すべきことを
言い始めたパイオニア。

そして開き直っている。

水月さん、博士号持ってて
パチプロで暮らしてた時期があったという・・・
しかも本書で思いっきりバラしているし↓




この本は要するにこうだ。
「博士号取っても食えないのはなぜだ?」

ということ。


大学院重点化→博士増量→学位があっても職が無い
(ちなみに平成21年度の博士の就職率は64%。
 ・・・・・・・でも、これは数字のマジックで本書では
 バイト扱いの非常勤も就職に含めての数字ではないかと
 指摘している。
 実際には東大の博士を出ても就職率40%。
 でも、これも数字のマジックで期限付きの雇用も含まれているので
 実際に終身雇用にありつけるのはもっと低い)

さらにいうと、

就職難→大学院に逃げる人増える→
大学院に逃げるとさらに職がない

という流れもこの傾向に拍車をかけている。


この本によれば・・・

平成21年度における大学院博士課程修了者の
死亡・不詳の者の割合が・・・

9.1%

(ちなみに同じ年の自殺者の率は0.0258%なので
博士がいかに高い確率で死んでいるかよくわかる)

なんで??
と思う人がいるかもしれないが、
博士号取ろうと思ったら命がけで大変です。

自分も睡眠時間削ってやってたら
あやうく9.1%に入りそうなくらいガタガタになりました。
心身共にギリギリまで摩耗します。

さて、水月氏の本の話に戻ろう。

衝撃的なのはP32の「ある非常勤講師鈴木さん(仮名)の
悲惨すぎる日常」のルポ。

「ホテルの夜勤が明けるとアパートに帰り、
昼まで3時間ほどの睡眠をとります。
その後、夕方から塾がはじまるので準備をし、
午後4時ごろには出がけます。
授業が終わりアパートに戻るのが夜中の12時前。
すぐにも寝たいところですが、
翌日は大学の非常勤があるので準備をし、
布団に入るのはだいたい夜中の3時くらいです」


・・・・・・・・・・いや~
鈴木さん(仮名)、そのままいくと過労死するんじゃ・・・。
=========================

さて、本書で偉いのは、解決策を提示しているところ。

*でも、水月氏、苦しみすぎて仏教的な「縁」に答えを求めている・・・
(気持ちはわからんでもないが、社会学的な本なのに
この宗教寄りな 結論はありえないかもしれんW
その気持ちはわかるけど・・・・・・・・・・)

*最後に
「論文を書いてポイント貯めて、就職を目指す」以外の
ルートを提示している。

<私のコメント>
↑いや、でも、宮台真司氏あたりは
たぶん、「なにをやっても成功する人」だと思う。


ビジネスしても成功するし、
サラリーマンになっても出世するし、
もし小説書いても当たると思う。


よーするに「人間力」が高いんだわ。
そういう人たちが学者の世界で
成功して「こういう方法もありますよ」と提示しても
大多数の博士にとっては
共感できないのでは・・・?


パティシエも、美容の世界も、大工も、IT企業も、学者の世界もそう。


自分の道を能力を使って切り開いていく人もいれば
過去の方法を踏襲して「ワーキングプアだ」と
嘆く人もいる。


この水月さんという人も、
博士なのにパチプロという経験を活かし、
ベストセラーを書いた勝ち組で
人間力高いんである。
(水月さんの場合はバイク便ライダーと
 パチプロの経験が人間力を高めたと思われる)
一般書とか出したりマスコミに出たりすると
周りに叩かれたり、いろいろあるけど
それでもしがみ付いて
踏ん張れるだけのメンタルがあるか、とか
周囲の人とうまくやっていける、とか。
いまの日本、どんな学歴でもどんな職種でも就職難なんだから
個性で生き残れるようにがんばろう!


・・・・・・・・・と自分で自分を励ました非常勤講師の自分(これが話のオチ)

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