2012年8月14日火曜日

森達也『死刑』×関連映画3本のご紹介

死刑はアリかナシか・・・という問題について
参考になりそうな資料を集めてみました。

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まず去年、2011年10月24日の
『TVタックル』を見ながら
メモった手書きメモを取り出してみる(ゴソゴソ)・・・

この番組だと85%が
死刑アリだと思うというアンケート結果を提示していた。

問題点として提示されていたのは
「量刑ギャップ」

*死刑
*無期懲役

この2つの間には深い溝が・・・!

無期の場合は10年~30年で釈放されることも
あるので、わりと呑気なものらしい。

無期⇔死刑にはかなりの違いがある。

だから、無期じゃなくて
「終身刑」にしたらいいのに、という意見がある。

ちなみに、死刑に関しては先進国の多くが廃止している。

104の国が廃止
35の国が制度として残存しているが事実上ナシ
58の国が存続
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↑TV番組のデータだけど、とてもよくまとまっていた。

次に、倫理学の本で、倫理的にどこらへんが争点になるのか探ってみる。

この本



の194ページ~「死刑は絶対に必要なのか?」
を読めばよくわかります。

この章をまとめると、こう。

1)功利主義の問題点を指摘する文脈において
よく使用される例のひとつに次のようなものがある。

「ある凶悪犯が実は無実だった。
でも無罪を出せば、群衆が暴徒化し、犠牲者がでる」

功利主義でいけば、死刑にするべきである。

2)そもそも凶悪犯=死刑ってなってるけど、どーなの?
1人殺した場合と10人殺した場合、同じ死刑は不公平では?
では処刑方法に差をつける??

3)ここで遺族が報復するという処刑方法はどうなのか?
ということになり、映画『親切なクムジャさん』の話題に・・・

4)いわば、あだ討ちに国家権力が関与する方法はどうなんだろ? という話。(コメント:この国家権力があだ討ちに関与する・・・に関しては このマンガにモロに出てきたよhttp://riekonaito.blogspot.jp/2012/04/blog-post_14.html

 5)話題は変わりまして・・・・・・ 死刑を支持する合理的な理由ってなんだろ? 「犯罪の抑止???」 でも、これだと「死刑になりたくて」犯罪を犯す人が出てきます 

6)あと、死刑の場合、冤罪を起こさないように重々注意しないと 取り返しがつきません。 イギリスでは1949年の「エヴァンス事件」 (冤罪での死刑執行後、目撃証言した男が逮捕された) 以降、死刑が廃止されました。 つまり、人間は間違えることがあるってこと。

  <補足コメント:冤罪はありえる・・・・・・ということについては この映画がオススメですよ>

7)人間は間違えることがある・・・・・・ だから、終身刑に留めるべきだ・・・・ という意見が出てくる。 若い受刑者の場合、下手すれば死刑よりも 終身刑のほうが残酷という場合もありえる。

  <補足コメント:荒木先生のこの短編が参考になるかも> http://www.amazon.co.jp/%E6%AD%BB%E5%88%91%E5%9F%B7%E8%A1%8C%E4%B8%AD%E8%84%B1%E7%8D%84%E9%80%B2%E8%A1%8C%E4%B8%AD-%E9%9B%86%E8%8B%B1%E7%A4%BE%E6%96%87%E5%BA%AB-41-54-%E8%8D%92%E6%9C%A8-%E9%A3%9B%E5%91%82%E5%BD%A6/dp/4086192772/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1344908529&sr=8-1

8)フランスでは死刑廃止したものの、死刑を復活する意見は出ていないらしい。 死刑を廃止するとしたら、どのようにするか? を考えることが大切かもしれません。 =====================================

次に、具体的な事例を考えるのに有効な本をご紹介します。 森達也の『死刑』です。  
この本、日本の具体的な事例やインタビューが載っているので 考えるときの材料になります。 ↑上の5)で「死刑になりたいから犯罪を犯す」という事例で 2001年の宅間守の手紙が掲載されています。

 「自殺しても元妻が喜ぶだけなので自殺はしたくない」 「無期になって刑務所内で暑さ寒さを無駄に経験したくない →死刑になりたい」 という虚無的な内容であって、 死刑という制度自体が、彼の犯罪の動機 となっていることがわかる・・・・・・。

 ・・・・・・だとしたら、死刑ってなんだ??

 あと、この本で印象に残るのは「教誨師(きょうかいし)」の仕事について。

222ページから教誨師のインタビューが掲載されている。

教誨師自身も死刑制度に戸惑ってる様子がうかがえます。

  教誨師Tの死刑制度についての意見 「人の可能性をすべて断ち切っちゃう制度です。  人は変わる。処刑される人は僕らのまわりにいる人となんら変わらない人たちです。  殺す必要はまったくない。」

森さんの意見→「個別にはそれは言えても、 司法としては再犯の可能性を無視することはできない」

Tの意見「でも僕はやっぱり、外的要因が強いと思っているんです。 死刑囚の話を聞いているとわかるんだけど、家族の愛情に恵まれた 人はほとんどいない」(中略)

「最後の最後まで生きる希望や望みを持って欲しい」 

↑このTさんの矛盾に充ちた一言に
死刑についての問題点が集約されていると思う。

死刑囚に「生きる希望を」と言ってしまうのは 矛盾だらけなんだけど、
実際に 回心した死刑囚を目の前にすると、そう思うようです。

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この矛盾については、映画『デッドマンウォーキング』を 観ると理解できると思う。

凶悪犯がシスターに出会って回心(改心じゃなくて回心) するんだけど・・・ やはり死刑になる。 

遺族としては被告が死刑にならなきゃ納得がいかない。 

シスターはどうしたらいいのかわからない。
(シスター、わりとパニック)


死刑囚は最後に言う。

「人が人を殺すのは間違っている。  それが政府でも」
・・・・・・・・とはいえ、

昨年度の講義で、この映画を題材にしたら
「自分が死刑になるってことで、はじめて自分の罪に向き合ったと思うので
やはり死刑は必要なのではないか?」という学生からの
意見が複数きました。

死刑になるということで、過去の自分と向き合い回心する。
でも回心した人間を処刑する必要はあるのか・・・堂々巡りです。

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