2012年8月23日木曜日

『ヘルタースケルター』×齋藤環『生き延びるためのラカン』

昨日のブログhttp://riekonaito.blogspot.jp/2012/08/blog-post_22.html
からの流れで・・・・・・・・・・・・・

『ヘルタースケルター』を解説することにしまっす。

最近エリカ様主演で映画化された
『ヘルタースケルター』ですが・・・

この原作漫画は岡崎京子さんという
漫画家が描いています。

岡崎先生は偉大な漫画家で、
資本主義と恋愛を結びつけて
漫画作品にしました。

その岡崎先生の代表作といえば
『ヘルタースケルター』なんです。
(映画は観てないけど、原作漫画持ってます)

この漫画からいくつかセリフを抜粋してみよう。

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「オイシイだけじゃものたんない
 カロリー70%オフのステキにおいしいチョコレートアイスバー」


↑最初のページがいきなりこれ。
つまり、現代人の消費欲が
美味しい+太らない(=きれいなボディライン)
になってきている・・・欲の拡大ってことを示唆

「あ、りりこだぁ りりこ可愛い
 みてみてーこの前髪 りりこスタイル」

↑ヒロインの芸能人りりこも
人々の欲望の消費対象になってるってこと。
つまり人間なのにカロリーオフのアイスバーと同じ。

120ページのセリフ
「彼女の美しさはイメージのモンタージュだ。
 つまり我々の欲望そのままってことさ!」

・・・・・でも、りりこさん、実は
人工的に創られた人工美人だったという漫画で・・・

りりこをプロデュースしている女性が
彼女に設備投資(?!)をして稼がせているという設定。
資本主義を体現しているような存在です。

124ページ
「あんたは維持費はかかりすぎる。
 生産コストが高すぎる商品なんだよ。
 最初の設備透視の回収だってまだなくらいなんだよ。
 分配されるお金が少ないのは仕方ないんです。」

りりこは、中身が空っぽで、
人々の欲望の受け皿となることで
お金を生み出すサイボーグだったんだけど、
そこにこずえちゃんという
生まれながらの天然美人がやってきて
人々の関心はこずえちゃんに移行します。
(一般大衆の興味なんてそんなもん)

こずえちゃんも芸能人だけど、りりことスタンスが違う。

こずえちゃんはこんな感じ
「別に、なんでも、どうでもいいです。
 有名になるとか。お金とかも別に。でも別に他にやることもないし
 できないし・・・いつかみんなわたしのこと忘れちゃってもいいです。
 むしろそのことのほうが楽しみです」

結局、りりこはサイボーグ状態が維持できずに
さらに、こずえちゃんに嫉妬し、
心も体もブッ壊れてしまいます。

で、りりこは最後、都市伝説のような存在になり
(実は美の天使だった、とか)
グッチとかプラダ、その他商品の話題と同等になって過ぎ去っていく・・・

漫画の最後にはどんでん返しもあります。
(ちなみに映画の最後がどうなっているのかは知りません)

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えーと、この漫画をそのように解釈すればいいか?

といいますと、この本を読めばいいかと思います。

齋藤環『生き延びるためのラカン』の2章
「あなたの欲望は誰のもの?」です。

2章をまとめるとこんな感じ。

1)心は言葉でできていて、そのために途方もない
自由さを得たけれども、同時に果てしない空虚さをも
抱え込んだ。
(ヘルタースケルターの漫画読むと、果てしない空虚さが
うまいこと表現されているのでびっくりしますよ)

2)言葉=心としてしまうのは、ムチャな感じがするが・・・
ラカンの前提としてはこれなのでいったん承諾してみることにする。

3)言葉を使うことによって、人間は欲望を手に入れた

4)ここで動物と人間の欲望の違いの話になる

5)動物の本能=遺伝子にプログラムされら特殊なソフトウェア

6)誰に教わったわけでもないのに、性行為したり獲物を捕まえる
(コメント:動物の狩りは親から習得する側面もあると思うけどなぁ)

7)人間は↑これらを「言葉」によって習得する必要がある

8)動物の性欲はタイマー付きで、パターンが決まっている

9)人間は年中発情期w

10)欲求は満足できる。でも欲望は満足しない。それが人間。
(コメント:お腹が空いたらファストフードでお腹を満腹にできる。
でも、最高級イタリアンに行きたいという欲望はおさえられないということかな??)

11)でも欲望はよくできたエンジンで、
人間を動かす

12)実は人間の欲望のシステムは資本主義のシステムに似ている

13)ここでラカンの有名な言葉

「欲望は他人の欲望である」

たとえば、もういらない
と思っていたオモチャを
誰かが「欲しい」と言う。
その瞬間に惜しくなる。

他人が一斉に欲しがる=欲望の根拠ってこと。

14)ここで20年前の西武百貨店のキャッチコピーの話に・・・

「ほしいものが、ほしいわ」

14)いまの世代のコミュニケーションの話に・・・。
コミュニケーションだけで満たされてしまう人たちが存在するように。

15)今度は中高年の話に。「ロハス」「スローライフ」の分析に・・・。
欲望を抑制するスローライフも、「満たされない欲望」の産物?という指摘。

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ラカンをふまえてから、『ヘルタースケルター』を
再読すると、理解が深まる。

ヘルタースケルターの漫画が凄いのは
主人公やライバル、脇役たちの他に

「一般大衆」の声

が混じっていることだ。

「あれ欲しいー
   あれカワイイー
      今度はこの子が流行しているよー
        芸能人の**ってカワイイー
            いや、今度は**のほうが・・・」(永久ループ)

一般大衆の欲望の受け皿になろうとして
空虚だったヘルタースケルターの主人公。

そりゃそうだ。人々の欲望は限りないし、
他人が欲しがっているから自分も欲しいという空虚なものだから
その受け皿になっても壊れるだけ。

主体的に自分に与えられた素材に
マッチングした生き方を選択した結果として
芸能人をしているこずえとは根が違うのだ・・・。

映画『ヘルタースケルター』観た人は
漫画原作を読んで、
さらにラカンの思想に触れると理解が深まるよ、というお話でした。

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