2012年9月1日土曜日

松谷創一郎『ギャルと不思議ちゃん論』

いままでありそうでなかった本!


これまで、若者文化や、スクールカーストについて書かれた本は
ま、いくつかあったんだ・・・
でも「不思議ちゃん」という切り口は新鮮だ!!

(注:後日、不思議ちゃんについては
新しい見解が出てきたので
こちらから読んでください→http://riekonaito.blogspot.jp/2012/12/1990.html

まず、装丁がかなりイイ!
萌えとオシャレの配分が良くて
最先端な絵柄なんだよな~。

齋藤環氏『世界が土曜の~』も装丁がかなりイケていたが、
近年の本は装丁のレベルが格段に上がっている気がする。
本は電子書籍化されるものが多いけれど、
紙の書籍も生き残ると思った。
内容⇔装丁のシンクロ・・・そして装丁の紙の手触り。
これらがあってこそ、「本」という作品なんだな、と改めて思った
1冊であった。

なお、本書『ギャルと不思議ちゃん論』は
内容が多岐に渡っているので
「ピンときた部分」
ランキング形式で挙げていきたいと思います。

1位:著者のコラムがとても重要な意味を持っていると思う!
えてして、こういう若者のカテゴリ分け系の研究というのは
「***はこうだ、だから**はこうだ」というものに
なってしまいがちだけど・・・
人間って、類型に分けても、ぜったいに
そこから「こぼれ落ちているけど重要な存在」っつーのが
いるのだ!
そこを掬い上げるのが、メインのコンテンツに
挟まれたいくつかの「コラム」部分である。
コラム、もっと増やしても良かったんじゃないかな~

本書の著者さんは、美大出身者の人なので、
「不思議ちゃん」の存在に関しては
実際に遭遇しまくっているのが強みだろね!
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ちなみに、「美大」に不思議ちゃんがいるのは
自分も、なんとなく知っている・・・以下、私の回顧録です。

あれは、大学卒業直後に美術予備校でデッサンモデルのバイトを
した時のことであった。
ちなみに、ヌードモデルじゃないよ。着衣モデル。
注その2:当時は現在よりも10キロくらい痩せていた。いまは絶対無理☆
注その3:数回そのバイトしたが、デッサン中に何度も睡眠状態になったことがあり、
それ以来、仕事こなかった)

その時に、美大生という存在と話したことがあったんだな。

私:「どんな絵描いているの?」

美大生:「ええ、レーダーです!」

私:「レーダー?レーダーの絵????」

美大生:「そうです、レーダーですよ。」

私:「魚群探知するの?」

美大生:「そのレーダーなんですけど、
そういう意味じゃなくて・・・その前はアンテナだったんですが」

私:「アンテナ?パラボラのほう?」

美大生:「・・・・・・。」

・・・・・・・・・。よくわからなかった。
しかし、その時に思ったんだ、不思議ちゃんは
美大にいる確率が高い、ということを・・・・。

この美大特有の空気、詳しくはこの本も読むといいと思う↓
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/08/blog-post_12.html
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いかん、話逸れた・・・とにかく、本書『ギャルと不思議ちゃん』は
「個別事例」のコラムが秀逸なのだ!

とくにP154~の美大内の女子の様子が面白い。
「カテゴリーに分けられないけど、これってあるある」
という事例が見事にコラムになっている。
類型にパッキリ分けられないからこその不思議ちゃんであり、
だからこそ、こういう個別のエピソードが重要になってくると思うんだな~

P233の「地味なMさん」のエピソードも、輪郭のつかみにくい
「不思議ちゃん」の核のようなものをなんとかコラムという形にして
つかんでいると思うんだなぁ~

P318の美人コスプレイヤーのエピソードもいい。

不思議ちゃんは「つかみどころがない」からこそ
不思議ちゃんなんだけど、
著者は「つかみどころないもの」の
ドアの取っ手みたいなものを
エピソードとして
見つけることができたんだなぁ~と感心しました。
難しいと思いますよ、取っ手を見つけるのは・・・。

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2位:椎名林檎のヒットの背景には何があったか、という指摘が的確
戸川純の80年代性的不思議ちゃんに近く、
シノラーのような90年代非性的不思議ちゃんとは違った
椎名林檎さんがあえて90年代後半にデビューし、
性的アピールを使ったのがヒットの要因だと分析。

これ、たしかにそうなんですよね~

当時、「なんだ?この懐かしくて、なおかつ新鮮な感じは」と思ったが
そういうことなのか・・・
この林檎さんのデビュー当時の背景を言語化できているのが
凄いと思いました。

しかしながら、林檎さんはアルバム『無罪モラトリアム』に関しては
神がかり的に名曲つくっていたので
プロモーション云々はさておき、純粋な音楽的な才能ゆえに
ヒットしたという側面も忘れないで欲しいと思いますが・・・
(その後のアルバムについては言及しませんが、
『無罪モラトリアム』は才能が迸っている)

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3位:JJを「コビ」、CanCamを
「モテ」とカテゴリ分けしたこと

ここ数年、雑誌コーナーに行くたび、
「CanCamにあって、
JJにないものな~んだ?」という
というナゾナゾを投げかけられていた
気がしていたが・・・
「おお、ここに回答がっ」という気分になった。

2000年以降にJJが失速したのは
コビを駆使してコマダムになるのが現実と乖離したからなのか。

一方、CanCamは総合職の女性を
ロールモデルとしているので、支持された、と。
(まー、その、恋も仕事も
     なんでもできる女性像というのも幻だが・・・)

また、東電OLを「少女世代」と「コギャル世代」に挟まれた
「狭間の世代」として分析しているのが秀逸だと思う。
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4位:スクールカーストの事例で
『ザ・クラフト』をとりあげていること。

そうそう、この映画をすっかり忘れていた!!
自分も高校時代に観たぞ、この映画。

以前このブログでスクールカーストについて触れたと思うが・・・

http://riekonaito.blogspot.jp/2012/05/blog-post_7140.html

魔術モノという印象が強くて、『ザ・クラフト』が
スクールカーストものだということを
忘れていた!!

ジョックスの対極にあるゴス、というのがよく分かる作品だったなぁ。

長谷川町蔵の言葉「ゴスは思想であり、階級ではない。
しかし、アメリカ的価値観では敗北者であることが多い。」

↑この引用はわかりやすい。

<私のコメント>
ちなみに、ゴスの立ち位置が分かる映画としては
「ビートル・ジュース」もあるよ!

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5位:学生にヤンキーとDQNの違いを聞かれても、
自分は、うまいこと説明できなかった。
ヤンキーのネガティブな側面=DQNかな、と思っていたが・・・
本書に答えがあった!

P313の表がわかりやすい。

旧:~族・ヤンキー・地元・一元的自己
新:~系・DQN・ジモト・多元的自己

「ある日はギャル、ある日は原宿系」という・・・
いまの若者は多元的な自己を
操るというのも面白かった。

しかし、これに関しては、原田氏の新書の中の
「異人種くっつき現象」を読んでからのほうが
理解深まるかもしれない、と
思いました。

原田氏の新書はこちら↓




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*おまけ*
そういえば、過去に、辛酸なめ子が
『女子校育ち』『女子の国はいつも内戦』で
現代の女子の姿を描き出していたが・・・・・・・・・・・・・・



なめ子氏の本には「何か」が足りなかった。

何が足りないのか・・・『ギャルと不思議ちゃん論』を読んで気が付いた。

その「何か」とはこれだ↓

辛酸なめ子さん本人が、
「究極の不思議ちゃん」のため、
「不思議ちゃんが書いた
   女の子のヒエラルキー研究本」に
なってしまっていたW

今回の本は、著者が男性というだけあって
不思議ちゃんから
一定の距離を置いて
不思議ちゃんを見れていると思う。

ただ、ちょっと思ったことがある。
P325の森ガールについてだが・・・・・

森ガール=
非モテを意味しないが、恋愛に積極的ではない

・・・・・・・・という定義は必ずしも成立しないと思うW

これは女子同士しか分からないニュアンスだと思うが、
森ガールには意外と「肉食系」を通り越した「猛禽類」が
潜んでいるんですよ!

あのヒラヒラしたスカートとゆるふわな雰囲気で
周囲を油断させ、
いい獲物をひっさらう
「猛禽類・森ガール」も存在している
ので、そこらへんも追求して欲しいW

森ガールの中には、
「赤ずきんのふりしたオオカミ」
ちらほらいると思う。

そして、その猛禽類森ガールはのぅ・・・・・・
草食系男子を喰っているんじゃよ、
後にはぺんぺん草も生えないのじゃ。
わかったかのぅ~(←市原悦子の声でナレーションお願いします

本物の猛禽類は清純な顔をしとるんじゃい!

その証拠に・・・
森ガール的な雑誌でよくモデルになっている
蒼井優ちゃんだって、恋愛に関してか~なり貪欲だと思う。
宮崎あおいタンも。

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あと、違う視点から読める
不思議ちゃんの本も紹介しておこう。
不思議ちゃん本人が執筆した
自伝としてはこの本を推薦する。↓かなり濃いが・・・・・

http://www.amazon.co.jp/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%82%92%E3%81%93%E3%81%98%E3%82%89%E3%81%9B%E3%81%A6-%E9%9B%A8%E5%AE%AE-%E3%81%BE%E3%81%BF/dp/4780801729/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1346470684&sr=8-1

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『ギャルと不思議ちゃん論』紹介の
続編はこちら↓
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/09/blog-post_22.html



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