2012年9月10日月曜日

魔法少女まどか☆マギカを考えるその1:白雪姫×『お姫様とジェンダー』(ちくま新書)

昨日、アトラス対談をしてから
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/09/blog-post_9.html
なにをしていたかといいますと。

「魔法少女 まどか☆マギカ」を
全話ブルーレイでブッ通し観るという
鑑賞会をしておりました。
いやー、まどマギ体験凄かった。
いままでコミックスしか
読んだことなかったけど・・・
(あとMAD動画でも観たことはあったが)


この作品、 ブルーレイアニメで観てこその芸術作品でした。 このアニメ、無駄なコマが全くないし 全部が濃いね!作画も新しいし。 しかも感動して泣いたぞ! (どこで泣いたのかは内緒)

異世界の作画に関しては、劇団犬カレー http://uchu-kibo.chu.jp/index.html というユニットが創っているみたいだけど、 犬カレーさんの参入で 娯楽とアートの境界にいたアニメが アートになったんだな~ ブルーレイで観ると、特にそう思う。 まどマギはデジタルフレームで美術館に 展示されるべき作品だと思う。 この映像体験、ぜひ、3D映画で体験してみたいなぁ。


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 そういえば、まどマギに関しては、以前、齋藤環先生の 解説をとりあげました。 http://riekonaito.blogspot.jp/2012/08/201111.html

あと、「変身」という側面でも、まどマギをとりあげたと思います。
これまでの魔法少女の変遷と比較するとわかりやい。
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/06/blog-post_11.html

 ただ、逆にいえば、 これまでの「定番の魔法少女モノ」を常識として知っている
 アニヲタじゃないと、まどマギの面白さはわからんかも・・・。

わたしが今回のまどマギ体験で↑以外に 思ったことは3つ。

*ジェンダーの問題がかなり含まれているのでは?

*パラレルワールドに関する考察を深めたい

*背景に出てくる三叉路の意味

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 今回は、まずは、まどマギのジェンダー意識について 考えてみたいと思います。











参考になりそうな新書を家の本棚を探したら、 たぶんこれだと思った。
この本、白雪姫という童話に関して、 かなりツッコミを入れています。

 白雪姫がアニメ、実写でくり返しリメイクされているのを考えても
この問題が未だに何ら解決していない証拠でしょうね。 
(ただし、リメイク版の実写は、白雪姫がちゃんと闘ったりするので ジェンダー意識に変容が起こっていることをその都度提示しているのか?)
                                                    ↑ この実写版の白雪姫いいよ!!


↑今年は白雪姫リメイクラッシュだね!!







↑元祖・白雪姫は結局、オタオタ逃げ回って
動物さんと遊び、
小人さんの家の家事を手伝って
地下アイドル的な存在になって
食べさせてもらって、
挙句の果てにあきらかな怪しげな商品(りんご)を
たべて喉に詰まらせ(この、ドジっこめが!)
挙句の果て、小人に迷惑をかけ、
王子が迎えに来たらちゃっかり一緒に帰る・・・。
恩人のチーム小人さんも
城に連れてって、雇用してあげりゃいいのに。

私もこの「ちゃっかり」にあやかろうとして
リサイクルショップで購入した白雪姫の絵皿を
部屋に飾っていたが
よくよく考えると、そのちゃっかりぶりに
だんだんムカついてきたので、先月くらいに食器棚に収納した。

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この本お姫様とジェンダー―アニメで学ぶ男と女のジェンダー学入門 (ちくま新書)P95~の
解説によれば

  1)昔話のなかには「型にはまった女性類型」がある
 2)よい母と悪い母 3)よい娘と悪い娘
 4)美しい若い娘と醜い老いた女
 5)美しく気立てのよい娘と醜く気立ての悪い娘

のステレオタイプがある・・・・・・・・・・・ じつは「男性側の策略」なんですね! 

つまり、男がジャッジになって、 女たちの美を闘わせているわけ。

 これ、構造主義とも関係あります。 構造主義についてはここで説明しましたね。 http://riekonaito.blogspot.jp/2012/09/blog-post_8.html
この構造主義の概念を、女性の善悪にあてはめて考えてみて!
 西欧では「禍いをもたらす悪女」と「祝福された処女」との分断が
 構造化されてきたそうです。
 旧約聖書にも新約聖書にも この構造化がされている!オイオイ聖書もかよ・・・!

 白雪姫もその構造にまんまとハマった物語よね~
 しかし、なんでこの構造化がなされてきたのか。 男性側の視点から考えてみよう。


  ☆生まれてくる子供の血統を保証するために純潔と貞操を美徳とした (モーニングで連載されている漫画「犬神もっこす」が新しいのは、一般常識からかけ離れた理論派犬神君が、独自の理論でこの定説を覆し  ヤ**ンの女性を高く評価しているところですW)

☆男性から見た理想の女性の類型を示すことで女性を教育しようとした

☆母親は自分そっくりに娘を育てようとして、娘は反発する

 このように、男性側の都合で女性を善悪に分け 闘わせるのは男性側の政治的策略でした。

  しかし、現実の私達女性のリアルな姿ってなに??? それは・・・・・・ 聖女でもなく、悪魔でも魔女でもなく、悪女でもない。 それは男がつくった鋳型である。 

女性が腐って魔女っぽくになっていくとしたら それは男性側の鋳型に自分がハマらないために 男性中心社会から弾かれるためです。 

知人曰く、「若いころチヤホヤされすぎた女性は 20代後半から意地悪になる」とのことですが・・・ これ、男性側の責任でもあるんですな。

 若い・綺麗というだけで周囲が甘やかしてチヤホヤする。 スポイルされた女性は、若さや美しさが無くなった時に それまで自分が気もちよくハマってきた鋳型がなくなり 、とたんにどうしていいかわからなくなる。 (これは、白雪姫に出てきた継母のようなパターン) 

だから、若い頃に華が開いてる女性こそ、 兜の緒を締めて、それが失われた時の 自分の在り方を模索しなくては。


============= 前置き長くなった。

 まどか☆マギカだと、 魔法少女は、魔法少女になるかならないか選べるんですね~
 営業マン・キュゥべえが魔法少女の素質のある人をスカウトしにくる。

ここで、魔法少女=自立を目指す女性だと 仮に仮定してみよう☆

・・・ たとえば、天才バイオリニスト上条恭介が選んだ志筑仁美さんは登場人物ではあるが 魔法少女にはならない。キュゥべえもスカウトしてないよね? 闘わないし、おっとりしているし、可愛いし、 男性が選ぶ理想の鋳型にハマった 女性像である。

おっとりしている割には、絶妙なタイミングで恋のライバルに プレッシャーをかけ、告白し、ターゲットをかっさらっていくのであーる! http://p-memories.com/node/9350

おそらく、専業主婦になって、鋳型通りの男性の好むタイプに成長し、 鋳型通り、安心感のある家庭を作り、 バイオリニストの妻として自己の幸せを追求するタイプ。

 もともと、この人をスカウトしても、 爆発的なエネルギー源にはならないので キュゥべえもスルーするわな。 でも、上条くんが一番つらいときに支えていたのは美樹さんなのにね!

http://news.walkerplus.com/2012/0625/4/photo06.html

  しかも、美樹さんは、魂を投げ出してまで、 上条くんに尽くしたが、全然報われず、そればかりか わけわからんものとの闘いに疲れて病んでいき、魔女になる。 電車の中でチャラ男に喧嘩を売っていた美樹さん、 あれは搾取されている女性の心の叫びですよ。

働いて、搾取されていく他者中心的な生き方をした女性を 戯画化したのが美樹さん。 杏子さんは、そんな美樹さんに過去の自分を重ねて放っておけない。 http://news.walkerplus.com/2012/0625/4/photo02.html

 杏子さんは利己主義ぶっているけど、自分と同じ間違いをしている美樹さんに同情、友情、友情以上の哀れみを持つようになる・・・と。

杏子さんの場合は、父に尽くしたが、美樹さんの場合は 同級生に尽くして消耗したんだな。
アニメは違うけど、少女革命ウテナの 姫宮アンシーも兄に搾取されて 魔女になったんだよね。
あのスッ頓狂なキャラは搾取され尽くした後の開き直り。
でも、ウテナと出会って、自立に目覚めて ラスト・・・という感じだったと思う。

しかし、この『お姫様とジェンダー』には、その解決策も提示してある。

1)他者中心主義の生き方が、女性を 男性の支配する組織のメカニズムに取り込まれやすくしている

2)女性は男性の好意や愛を得ることに必死で 女性同士の友情や連帯を損なってしまう

3)女性は男性社会の中では自己実現を抑圧された存在なので、 すべての女性が自分と同じように「燻って」いることを求める

4)だから誰か目立つ人がいると叩く

5)女性を皆、水平化して自己の存在価値を確認したいから

6)でも、女性が本当に人間になるにはどうしたらいいか

7)母親との関係を清算し、男性にも女性にも真の友情を持つ

8)そのためには、何世代も継承されてきた男性社会が求める「女性らしさ」を捨て去る必要がある

杏子ちゃんの仕草が女性らしさを捨て去っているのは 男性社会の矛盾(父のプライドが家族を壊した)に 対する反発もあるんだろね~

まどかとほむらの真の友情は、男性中心社会から脱却し、
社会貢献しようとする共通の目的に向かっていて だからこそ感動するんだな~

まどかちゃんの「同じ立場で苦しんできたものへの哀れみ」は 時空を越えて、歴史を変えていく・・・・・
というラストは素晴らしかったな。 まどかちゃんが自己を捨てて「概念化した」というのは
彼女が自己を犠牲にし 男性中心主義を変容させることによって
過去に男性中心主義の犠牲となった女性たち
たとえば、オランプ・ド・グーシュやジャンル・ダルクなどなどの
苦しみを昇華する、という解釈もできると思う。

なにより、まど☆マギがジェンダー問題に関して革新的な作品だと思うのは、
まどかの家族が・・・

母=稼ぎ頭

父=主夫

なんですよね。過去のアニメ作品
サザエさん、などの定説を覆している。
だからこそ、まどかは旧世代の価値観に
囚われずに行動できたんだと思う。

他者中心の価値観が母ー娘で受け継がれていくとしたら
真の革新者は「まどかの母」だと思う。

というわけで、今回はジェンダーの問題と絡めて、 まど☆マギを解釈してみました。 

次回は「パラレルワールド」と絡めて考えてみたいと思います。

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