2012年9月2日日曜日

大学書林語学文庫『エミール』でリア充の挫折を学ぶ!

以前、ルソーとクレヨンしんちゃんを絡めて説明したが・・・↓

http://riekonaito.blogspot.jp/2012/04/blog-post_20.html


今回はこれをふまえて、ルソーの教育論『エミール』を
読みたいと思います。




と、その前に、エミールが何なのか説明しておきます。
この本



のP209にエミールの説明が載ってます。

こんな感じ

1)『エミール』は基本的には、できるだけ
「自然状態」に近い形で、子供を教育することを目指した
(自然状態についてはhttp://riekonaito.blogspot.jp/2012/04/blog-post_20.html 
のページをご参照ください)


2)子供に社会規範や知識を教え込むのではなく、
その潜在的可能性を「引き出す」ことに主眼をおく

3)この本でルソーは人間は三種類の教師によって教育を受ける
としている

*自然:わたしたちの能力と器官の内部的発展

*事物:外界の事物についての経験

*人間:内部的発展をいかに利用すべきか教える

しかしここで問題が・・・・・・

自然と人間で対立がおこるのである!

人間による教育=社会制度に適合するように教育する

だから、人間をつくるか、市民をつくるか決めなければいけない。

============================

ここで、ちょっと思い出してみる・・・・・・・・・・・

http://riekonaito.blogspot.jp/2012/08/3.html

ここの最後にクイズ出しておいたと思いますが、
最後のクイズの答えは「学校」です。

このフーコーのいうところの「学校」という場所は
社会的な人間をつくりあげる場なんです。

時間割通りに動かすことによって、
運動会でキチッと整列して行進することによって、
社会という型に自分を押し込める
「場」なんです・・・。

===============================

ここでこの本の213ページに飛ぼう。

市民を育成する教育はプラトンの『国家篇』に示されていた、
とされている。
でも、もはや、祖国も市民も存在しないため、それは幻・・・。

世間では、「公共教育」のように見えるものが行われているが、
ルソーに言わせれば、そこでは2つの相反する
目的が追求されているせいで、中途半端になっている。

中途半端さはコレ↓

*「いつも他人のことを心配しているように見せかける」
*「実際には自分のことしか考えない」

↑この「二重の人間」が作り出されている・・・ということ。

これ、なんとなくわかりますよね。

世の中のいうところの「オトナ」の多くがこんな感じかと・・・。

ルソーはこの状態を変えたかったみたいなんです。

そこで、ルソーの提案はこちら。

1)とりあえず自然人として教育した人間が
                どんな人になるか想像
2)その人をどのように市民に近づけるか考える

ルソー、そうとう面白いな!
ルソー本人が露出癖のある自然人(?)
というか野生児(というか、やはりルソーと
クレヨンしんちゃんのキャラ、被っているなWWW)


つまり、こうだ・・・・・・

まず、クレヨンしんちゃん的に育ててみる。
野原しんのすけ、後からどうにか社会的に適応できるよう調整。

↑これ、いいと思うW

最初から、出木杉くんを作り出して
エリートだらけの変な社会をつくるよりは
クレヨンしんちゃん的な子供が
どうにかオトナになって、おもしろい社会を
つくっていくほうが発展的な社会になると思う。

これを前提としてこのエミールは・・・





エミールという仮想の子供をマンツーマンで育てあげる思考実験を
していく・・・という本。

かなり、面白いことしてますよね!っつーか、
エミール、実はルソーの
脳内生徒なんですねWW
どんだけ想像力豊かなんだ、ルソーは。

エミール、どんな子供かイメージわかないので・・・
ルソーと全然関係ないけど、こんなイメージでどうだろう↓

んで、このミゲルくん・・・・・・じゃなかったエミールを ルソーは理想の教育で育てていくわけです。  しかし、ルソー、エミールを自然状態で育てていくというわりには 干渉しているWW 経験することをコントロールしたり、 職業体験もしている。 かなり人為的なのだ・・・。


ルソーの言い訳を聞こう 

「エミールは自然状態に生きる自然人」ではなく 「都市に生きる自然人」だから。

  たしかに、自然状態に生きる 自然人だとこうなるわなW↓ (この動画、かなり長いですが6:55の部分を見てください!
 6:55のところに自然状態の自然人がWW)
========================
ここまでが前提。
次からが、エミール本題。

この語学文庫のエミール、なにがいいかといえば
フランス語の原書と日本語訳、同時に載っているのだ!!
訳が難しい部分は注で補足してある!
これは非常に親切。
大学時代、ゼミで原書訳すのに必死で
内容まで頭に入らないパターンに
なってたが・・・・これだと語学と内容
両方すんなりいけるから、親切設計だな~


エミールで面白い部分といえば、
他の教育を受けたリア充的な青年の成長と、
ルソーの脳内生徒のエミールを比較している部分。


この本のP83~
<リア充の描写と挫折>
彼にすべてを与えてみよう。
魅力や長所も惜しみなく与えよう。
容姿もよく、才気に満ち、人から好かれる
人物としよう。彼は女性から
ちやほやされることだろう。
しかし、まだ女性を愛することができないうちから
彼を追いかけ回すことで、
彼女たちは彼に恋心を抱かせるより、
むしろ気を変にさせてしまうことになるだろう。
彼は女性にもてるだろう。
しかし、それらを味わうだけの熱狂も
情熱も覚えることはないだろう。
欲望はいつも先回りして満たされ、
欲望がうまれてくるだけの時間の余裕が
決してないため、快楽のさなかに
いながらも気詰りな退屈さしか感じない。
子どもの時にはみんなが
彼の言うことを聞いてくれ、
みんながちやほやしてくれた。
青年になると、彼のほうがみんなの
言うことに従わなければならない。
虚栄心は心を蝕み、
途方もない激しい欲望が
青年の心を燃え上がらせる。
それとともに嫉妬心と憎しみが生まれる。
彼は自分にも他人にも不満を感じたまま
帰宅する。様々な空しい計画を抱き、
様々な妄想に悩まされながら眠りにつく。
そして思い上がりのために夢の中でさえ
架空の幸福を思い描き、
それらを求める欲望のために
苦しめられるが、
そのような幸福は彼が一生かかっても
手に入れることのできないようなものだ。

(私のコメント:ルソー、リア充の人生を勝手に妄想し、
非難してるなぁWW
まぁ、これある程度は妥当だと思うが。
女性の場合も、若い頃に
ちやほやされすぎると
20代後半くらいから
痛い感じになってくる・・・・・・・・・・・・・・・と
知人男性が言ってました)


一方、ルソーの理想教育を受けた青年は
こうなるとルソーは勝手に妄想↓

彼は自分の同胞たちの苦しみを
分かち合う。
しかしこの共感は自分の意志によるもので
心地よいものだ。
(中略)
他人の苦しみを気の毒に思うためには
たしかにその苦しみを知っていなければならないが、
それを自分が実際に感じていてはいけない。


ルソーの脳内生徒は、他者への哀れみの情を
自然に持つことができるようになるそうな。

*繰り返すが、ルソーの他者への哀れみ
はこれで理解してたもれ

つまり、ルソーは、自分の理想の教育を
脳内生徒に施し、そうじゃない生徒と比較し、
勝手に描写してたんだな。
ルソーの教育方針は現代においてある程度役立つと思う。
(ルソーは、子供をオトナ社会に導きいれる責任放棄しているという声もあるが
 一応、ルソーはそれも前提にしてエミール書いていると思うので
 批難するのはお門違いだと思う)

ただ、ただ・・・・・・・・・・

ルソー本人はここのサイトに書いてあるような人生を送っています。

そうなんです、ルソー本人は教育論書きながらも
5人の子供の教育を放棄し、孤児院に預け、
露出癖があり、晩年は被害妄想に苛まれ、孤独に過ごしました。

ルソーは、生涯、自分が子供のままでした。
だからこそ、子供にとっての理想の教育論が書けたかもしれない。

あ~、でも本人の人生がこうなんだから、説得力あんまりないなぁ・・・
露出癖はともかく、子供5人の教育放棄はイカンと思う。
リアルな子供を放棄して、理想の脳内生徒エミールを
彼の脳内の理想の教育で育て上げた
ルソー・・・・・コメントに詰まるよ!

今回の結論:歴史に名を遺し、立派な業績を残し、カントを夢中にさせるような
本(『エミール』はカントの愛読書)を書いた人でも、
その人自身が立派であるとは限らない。

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