2012年11月12日月曜日

楳図かずお『わたしは真悟』

ある日のことであった・・・・

友人JBから指令が!

楳図かずお先生のマンガ『わたしは真悟』


の哲学的解説してくれ!と。

この無茶振りに応えるべく
奔走した記録が今回のエントリーである。

以下はその経緯であーる。========

1)JBから全巻借りる&のちに解説サイトも送られてくる
このサイト↓
http://strangelove.jp/shingo.html
↑子供の世界・オトナの世界の対比として解釈してある素晴らしいサイト。
オトナの世界が子供にとって毒で、子供の世界が大人にとって毒なのは
クレしんオトナ帝国の逆襲にも描いてあったテーマだなぁ。

2)このサイトの内容をふまえ・・・FACEBOOK経由で
「子供とオトナの区分について、哲学的に考察している哲学者ご存知ないですか?」
と呼びかける
 
から以下の情報が・・・
 
瀧本先生:永井均さんは、「〈子ども〉のための哲学」(講談社現代新書)で、子どもの哲学と大人の哲学を区別しています(ほかに青年の哲学、老人の哲学)。彼は、子どもの哲学で、「存在」を問うもの、大人の哲学は、世の中のしくみをどうしたらよいかを問うものとしています。
 
ニーチェは子どもの哲学、ヘーゲルは大人の哲学ということになります。 楳図先生の作品、そして先生自身が「子ども」の視線ですよね。14歳も、私は真悟も、まことちゃんも、漂流教室も、素晴らしいですよね。
 

4)たしかに、ヘーゲルはhttp://riekonaito.blogspot.jp/2012/05/3_1160.html
オトナ用で、ニーチェhttp://riekonaito.blogspot.jp/2012/05/4.htmlは厨二のままだなぁ~と納得。

5)次に・・・http://strangelove.jp/shingo.htmlに登場する
永井先生の本を調べたところ・・・ 
この本に『わたしは真吾』の解説が書いてあるみたいなので購入。
 
 
 







 

この本における永井先生の『わたしは真悟』解説はこんな感じ

「作者は、ここではほとんど読者を無視して、
自分の妄想そのものを生のまま表現しているように思える。
有名マンガ家がこんな作品を発表してしまうとは信じがたいほどだが・・・
芸術の鑑賞とは、他者の狂気に触れる喜びなのではあるまいか」

えええええっ。この解釈はどうかなぁ??!!

この漫画・・・
永井先生が言うような
狂気や妄想は感じないぞ・・・
しかも、読者無視どころか
強烈なメッセージを含んだ
超一流エンターテインメントだと思う、私は。
「狂気的な現実のオトナの世界」
子供の視点から
シラフで描いた究極の純愛モノじゃないか?
と思った。

子供の純愛ほど、至高の存在はないよ!
この漫画の主軸は
「子供どうしの純愛モノ」じゃないかなぁ。

なお、永井均先生は「美紀ちゃん」という
胎児と人との間のような存在と真悟が
感応してコミュニケーションをとる場面について
素晴らしい、と絶賛している。
2人が感応し、美紀ちゃんが姿を変える場面に
永井先生は感動したそうだ。

面白いなぁ。読む人によって、
全然感動のツボや心にひっかかる場面が
違うみたいだ・・・。
感応する場面が、読者によって全然違う
面白い漫画だと思われる。
(良い作品って、そういう存在だよね)

わたしの場合は、子供の純愛(サトル&マリン)に
ひたすら心うたれた。

====と、いうわけで、以下は私の解釈です==

私は、楳図かずおの『わたしは真悟』を

映画『ちいさな恋のメロディ』+SF要素

として解釈しました。
 
『わたしは真悟』は・・・・ こんな流れで読めばわかりやすいかと

まず、男の子が女の子に会う→好きになる→両想い (サトル&マリン)
→でも2人ともも生えてないわ 性欲も芽生える前なので
両想いでも、何をどうしたらいいかわからん
(ここまでは、小さな恋のメロディの
オマージュと解釈したらいのでは)

<ここから先がカオスな楳図ワールド>
→男子も女子も自分の想いをロボットにぶつける
→ロボットが愛を学ぶ→ ロボット真悟、男子と女子を親と認識
自己意識が目覚める (注:倫理学的なヒトとしての定義は以下にも出てきたけど http://riekonaito.blogspot.jp/2012/10/blog-post_9960.html
「自己の概念を有する」時点でもうヒトなんだな。 だから真吾は
生命倫理の対象内ということになる)

→胎児と人間の間のような存在の子供と ロボット真悟が
心を通じ合わせる(2人がシンクロする)
マリンとの両想いの事実をサトルに伝えるためにロボット奔走
→ロボットの真悟がボロボロになるにつれて犬と感応
(ここらへん、とても感動できる・犬の変身も奇跡)
→爬虫類と感応→ハエ→最後は18文字の概念そのものになる
→最後にアイの二文字だけが残った
 



・・・・・・・・・・という素晴らしい恋の物語で、
そこにロボットの自意識というSF要素を絡めた素晴らしい恋愛モノだと思う。
ロボット真悟の想いが、まっすぐで強いために神秘性を帯びて
美紀ちゃんや犬を変身させたりするシーンも好きだ。

あのピノキオは自身の変身(人形→人の子供)のお話で終わっているが
真悟の場合は自分は最期まで
「ただの機械」のままで死に、
真悟の周りの存在(美紀ちゃんや犬)が奇跡で変身していくのも感動する。
ピノキオよりも純化された物語だな。

ヒトが言葉を持っていること、そして、好きという気持ちを伝えることができるという
ことの素晴らしさを「真悟」という機械を通して逆説的に描くことで
究極の純愛モノになっている。

いまの時代、ドロドロしたオトナの恋愛(性欲絡み)を見ても なんも感動できんわ!!
そんなのバブル期のトレンディドラマでたくさん。
いまの時代、こういう究極のプラトニックラブが心に効きます。

  これを、カントの考えかたで見てみよう。
  以下のブログに「目的の国」の話が出てくる。 http://magnoria.at.webry.info/201107/article_81.html

子供の恋愛って「目的の国」なんだよなぁ~ 性欲もないから、
相手をセックスの対象としても見てない。 ただひたすら、「相手が好き」という感情がある。
 
これが至高性じゃよ

このシーン、最高!!
 
『わたしは真悟』は、男子と女子が「別れても両想い」という事実を
ロボットが伝えようと奔走する・・・
ただそれだけのことなのに、本当に感動する。

自分も相手が好きで、相手も自分が好き。これは奇跡。
それだけで生きている意味を充たせる至高性(バタイユ http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%B8%A5%E7%A5%EB%A5%B8%A5%E5%A1%A6%A5%D0%A5%BF%A5%A4%A5%E6?kid=308883&alias_redirect_referer=309028

しかも、「こどものとき」だからこそ、100%の純愛なんだなぁ。
そして「こども時代」は失うと二度と戻ってこないんだなぁ。

オトナになってくると、「手段の国」的になる。 結婚も政治的になってくるし
(相手の収入・世間体など) ピュアラブが不可能になってくる。
  『わたしは真悟』に出てくる主人公の父母は完全に政治的な関係なんだな。

会社をクビになったパパ→ママ、それを知り
ソッコーで別れる

↑ここらへんのオトナの関係とサトル&マリンの関係を対比して読むとわかりやすい

 わたしも、いつまでも、小さな恋のメロディ的な感覚を完全喪失したくないわ。
  (注:33歳でこんなこと言うのは相当アレだが)

なお、『ちいさな恋のメロディ』は
わたしの一番好きなバンド ブランキージェットシティの歌にもなっているよ
 
 

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