2012年12月30日日曜日

映画『ケース39』×『ユングにおける悪と宗教倫理』(教文館)

えーと、ダークナイトライジングを観て、今日感想書いたんですけど
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/12/blog-post_30.html

・・・・どうも、すっきりしないというか
ハリウッド的なアメリカの正義で完結してしまったため、
補足として「悪」について説明したいと思います。

キリスト教の教えは基本、善のみの一元論です。
悪は「善の欠如」とされています。
(悪魔は基本、堕天使なので)
ここらへんは、映画『コンスタンティン』観るとわかる。

悪魔は、全員、もともと天使だった。それが堕天したのが悪魔。
ゆえに悪っぽく見える存在も、善の欠如なんだな~
悪のほうは実在しない方向なのだ。
 
 
ハリポタとキリスト教、善悪二元論について
絡めてあるけど、これは間違い。
キリスト教はギリギリまで二元論に近づくけど寸前で二元論にいかない。
 
その「キリスト教、ギリギリまでいくけど一元論」という説明は
この本がイイ!!

 
この本のP92あたり~ラッセルの聖書考察が載っている!
 
1)旧約聖書の成立期の早い段階では神自身が善悪両面的である。
悪魔という表象は存在しなかった。
時代が下るにつれて神は善なる存在として理解されて
神の悪の面が事実上独立して悪魔として表象されるようになる。
↑いや、これ二元論になってないか?と思うが、スレスレのところで
悪魔が神に由来しているので一元論なんだな。
 
2)新約聖書になると悪魔VS主になるんだけど・・・
主から派遣された
キリストが悪魔倒します的なストーリーなんだなぁ。
終末の時も、キリストはサタンに勝つとされている。
でも、サタンは堕天使(善の欠如)なので、まだ一元論。
 
3)そして、ユングがユニークなのは、
ここらへんの聖書考察を汲んで
父と子と聖霊の三位一体を
父と子と聖霊と悪魔の四位に読み替えたってことです。
ユング、冒険しましたね・・・。
 
 
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一方、悪が実在して二元論なのはマニ教です。
アウグスティヌスが回心する前にハマってたような記憶が。

スターウォーズはマニ教的。ダークフォース実在するからねぇ。
スターウォーズもトラウマきっかけといえばそうだなけど 二元論なんだな。

境界線越えてジェダイからシスになることで
ダークフォースをGET、 善側から悪側に寝返ったからね~
境界線があるんです。

キリスト教は、悪が実在するように見えても ギリギリまで一元論で踏ん張ります。

ちなみに、その世界観を根底から覆したのが
クトゥルー神話なんだな。
http://members3.jcom.home.ne.jp/kitidenju/huuju/etc/etc/ctu.htm
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  一方、日本のドラマや映画は因果で説明しがちよね。
やっぱ仏教的なんだな。縁とか因果とか。

**は**をしましたが、このような生い立ちがあり、
**を経験し、このような因果で**をしました。
観客、納得。涙。                 =完=

松本清張的な作品はこんな感じだなぁ。

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デ・ニーロの『タクシードライバー』も 帰還兵のトラウマ、孤独、恋愛の失敗の3点セットで
説明付くんだな。あれは結果的に「善」として 社会的に判断されるのがユニークだが。
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そこで、今回、ご紹介するのが、絶対的な悪を描いた映画。
キリスト教的な世界観を壊す絶対的な悪。
それは『ケース39』です。サイコホラーなんですが、 本当にサイコだ。

なんてったって「絶対的な悪」が小さな女の子。
しかも、『ローズ・イン・ダイドランド』のあの子役の女の子だ。
彼女を「絶対的悪」に設定したのは凄いと思う。
カワイイ少女だけど、よくよく見ると 目に光が宿ってなくて
ジッと見ていると老成した何かにも見える。
 
これ、ジョーカーの悪よりも、もっと怖いものが見える。
 
最初、少女が虐待されていて
親が狂っていると思うんだけど・・・・・実は逆なんだ。
 
これ、もし、分析するとすれば人格障害の話になるのかなぁ。
境界例を描いているような気もする。
いや、もう分析できない領域の話なんだな、これ。
キリスト教的な救いもない。
 
普通の生い立ちで、トラウマもなく、
普通の少女なのに、絶対的な悪。それがケース39。
これ、最後は善の勝利に見えるけど、
後のこと考えたら社会的な敗北が待っているような・・・。
結局、勝てないんだな、最後まで。ものすごい後味悪い。
でも、だからこそ、過去になかったパターンの映画だと思う。
 
人間の生半可な精神分析VS絶対的悪
 
で悪が勝利する、パターン。 
 
『ケース39』に似たような作品で、
『エスター』(以下)
 
・・・・・・・・・・があるんだけど、
あれはちゃんとオチ(なるほど~そうだったのか!!的なオチ)
があって、納得できる。もう、さんざんなことになるのだが、
「レアケースだけどこういうことあるんかな」という論理がある。
 
一方、『ケース39』は論理最後までない。
日本のホラーで海外にもウケてリメイクされている
『リング』『らせん』ですら、「呪い」という説明が一応あるのに、
『ケース39』は少女が人を呪う理由すらないのだ・・・。
 
日本の『リング』『らせん』はキリスト教圏にはない
ホラー要素がウケてリメイクされたんだけと思うけど
2009年の『ケース39』は論理から離れた
絶対的な悪の実在を描いていると思うんだな~。
 
ジョーカーの存在に近いといえば近いんだけど
ジョーカーは見た目も怖いし中身も怖い。
一方、『ケース39』の少女は見た目が可愛くて中身ジョーカー。
 
たぶん、ジョーカーと対決したら、
『ケース39』の少女が勝つ。
ってか、ジョーカと対決して勝てる存在は
世界でただ一人、『ケース39』の少女だ。
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そのほかに、絶対的悪を描いた作品はあるのか?といえば、
あるといえばある。
『ツインピークス』のボブ。
 
ボブは絶対的な悪の象徴。
ローラのお父さんに「憑りついて」いたのだ。
最後には、棲家を替えるのだが・・・。
 
FBI捜査官VS絶対的悪
 
で、最後まで捜査官勝てない。
 
家にDVDあるから、ボブの出ている画面撮影した↓
 
ボブ役の男優は、実は、ツインピークスの大道具さんで
俳優ではないんだけど、この人ピッタリだよなぁ。
 
「絶対的な悪」と言えば
村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』に出てくるワタヤノボルもいるなぁ。
(もし、ねじまき鳥を映像化するなら、
ワタヤノボル役は森山未来を推したい。なんとなく)
 
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 それにしても。
村上作品とリンチ作品の共通点は本当に多いのだ。
 
以前、ここでも共通点について説明したが。(スポイルされた女性について)
 
リンチ⇔村上作品の共通点をピックアップすると
こんな感じじゃないか?
 
「スポイルされた女性が登場」
「絶対的な悪の実在」
「そんな悪に対峙するには、
日常の小さなことを大切にすることが大切
(パスタ茹でたり、コーヒー飲んだり)」
 
・・・・両方の作品知っている人なら、「あああ」となると思うW
 
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今回のまとめ
 
1)キリスト教は、基本、善の一元論。
 
2)ユングは悪の概念について、けっこう冒険的なこと言ってた。
 
3)映画『ケース39』は救いも論理も無い冒険的な映画。
だからこそ新しい。
精神分析の敗北を描いている。
 
4)村上春樹とリンチも「絶対的な悪」を描こうとしている。
 村上作品とリンチ、この2人の作品は共通項多いなぁ~。
 
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この記事に関して、「しーもあさん」から
以下のコメントをいただきました!
近年の日本の表現界では悪ブームみたいになってますね。そのままずばり「悪人」というタイトルの小説があったり、マンガでも小説でもサイコパスものばかり・・・・ともかく「根源的な悪」に関心があることは間違いないです。コリン・ウィルソンの著作で、悪を追求した大量殺人鬼ものとか一連のシリーズがありますが、近代では貧困と無知が悪の温床とされた、しかしそれはややナイーブな見方ではないかと言ってます。それ以上の悪の根源的な魅力みたいなものがあるのではないかと。日本や先進諸国では近代を経て、無知や貧困は基本的には根絶されたと言えるでしょう。それで個人的な悪の問題が浮かび上がってきてしまった。昭和の作品ではミステリーや左翼文学でもとにかく社会的悪というのが悪を扱うにしてもメインだった傾向があるように思います。悪の問題が神も社会もとっぱらって直接個人が直面せざるを得なくなってしまったというところでしょうか。

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