2012年12月3日月曜日

岐阜が生んだ銀河系一の美女『富江』(伊藤潤二)とその映画作品群について

今回は伊藤潤二先生の漫画『富江』と
それを映画化した作品群について整理していきたいと思います。

富江は1987年から漫画家・伊藤潤二先生が
描き始めた女性のキャラで(なぜか岐阜出身・たぶん伊藤潤二が岐阜だから)
「殺しても増殖」「女王様・魔性」「左目の下にホクロ」がキャラの要素と
なっているのですが・・・実はよく見ると
決定的な造形は決まってなくて
その時の流行の顔や、伊藤潤二先生の気分によって
わりと左右されているW
富江の変遷はこちら
最初期は楳図先生テイストが濃いかな。

その後、顔が薄くなり、童顔になる。

童顔抜けてお姉さんっぽくなったり・・・

童顔だけど濃いバージョン

↓時流に合わせて造形が変化。
このときは富江さんギャル服着てたし、
髪も黒髪じゃない。
しかしこのオッサンどうしのギャグはなんだ?
この独特のノリが伊藤潤二作品の「富江」の魅力なんだが・・・

ちなみにこの回のストーリーは
伊藤先生がネタをあたためていたら
ファンサイトに同じようなストーリーが投稿されていたので
あわててアレンジしたとのこと。なんじゃそらW

そして唐突にタラコ唇化。
それは伊藤先生本人も書いていて
「姉にタラコ唇になりすぎだと指摘された」
「これも悪くないかも」とかけっこう適当だ・・・。
わりといいところに着地してた作品。
ここらへんでやっと造形が落ち着いてきたっぽい
かと思ったら、ショートカットに 
いきあたりばったりのため、最初期に「富江の幼馴染」という
設定と矛盾した存在で出てくるので
後付けで富江の幼少期を成立させるためのお話。
・・・に出てくる富江の幼少期が上の画像。
富江、幼女にすると魅力が増す気がする。
ちなみに、上記の著者解説によれば本物の富江は
漫画よりも美しいそうですWW

物語の外に、富江が実在して、
その実在の富江をマンガ家伊藤潤二が
せっせと描いている・・・
というのがこのマンガですよ、という
設定にしているらしい。
富江の造形だけ見てても
わりと理屈抜きで楽しめるホラー漫画なのだが。
たぶん、このマンガはホラーじゃなくて
シュールなホラーギャグ漫画だ。

本気のホラーとして見ると、拍子抜けする。


しかも、ストーリー自体も、わりと思いつきで作っている伊藤先生W

ご自身の中学のときのトラウマに
「楳図かずお先生のアイデア」を掛け合わせてつくった、
と明記してあるのです。

さらにいうと、職場の先輩Hさんに指摘されてストーリーを考え直している先生W

ストーリーも、ネタが切れたので**にしてみた、
ここで**のキャラを出したけど
その後を描いてみたとか・・・わりと適当だ。

たぶん、富江はキャラクターじゃなくて
自律した「キャラ」になっていると思う。
物語の外でも成立する役者的な存在になったんだと思う。

年齢を超越した美少女キャラって、
楳図先生だと「おろち」がいたんだけど
彼女はどちらかといえば「善」とか「中立」の存在だった。
だからそこまでキャラが濃くないんだな・・・。

楳図かずお先生の耽美ホラーな絵柄の影響を受け、
さらに、これまで紋切型すぎて逆に誰もつくらなかった
「魔性の美少女」×ホラー
というシンプルな世界観を提示したことによって
日本のB級ホラー界はこの『富江』二次創作が
1999年以後、百花繚乱状態になります。

 ザッと挙げただけでも以下の通り・・・
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富江 (1999年):菅野美穂(1999年TVドラマ版:『富江 アナザフェイス』は永井流奈)
富江 replay (2000年):宝生舞
富江 re-birth (2001年):酒井美紀
富江 最終章 ―禁断の果実― (2002年):安藤希
富江 BEGINNING (2005年):松本莉緒
富江 REVENGE (2005年):伴杏里
富江VS富江 (2007年):あびる優
富江 アンリミテッド (2011年):仲村みう
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私は2005年の映画までは全部観たな。
さすがに、2007年あびる優以後は観る気がしなかった・・・。
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なんでこんなに量産されたかといえば・・・
富江はキャラが濃いわりに伊藤潤二先生のストーリーとか設定が
わりとグダグダなために、
映画監督が独自の要素を盛って
二次創作しやすいこと、
若手女優の左目の下に「ホクロ」を描いて髪型を古典的ロングヘアにすれば
キャラとして成立し、低予算で美少女ホラー映画ができる。
オタク系やアイドルマニアな客層を取り込めるので興業的にもそこそこいける。
及川中監督にいたっては、実は2回も富江を映画化しているんだよねW

1999年のものと、2005年のビギニングのほうは
どちらも及川監督です。
これらの作品群の中で、伊藤潤二作品の要素と
富江の魅力を充分に理解して制作しているのは
やはり及川監督じゃないかな?と思います。

裏テーマとしての百合要素もさりげなく描けている
女優さんの配役も良いし、伊藤潤二作品独特のヘンテコなノリを
ちゃんと再現できている。
先生が発狂するときに発する奇声が伊藤潤二ワールドをきっちり再現している。
この映画で、富江に「岐阜出身」という設定が付加されている
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富江のキャラを一番表現できていたのは
1999年の及川監督×菅野美穂さん
の作品かと・・・このシーンの演技はB級ホラー史に残る名シーンだと思います。


ちなみに、菅野さん、いまでこそふつうのお姉さん役が多いけど当時は
イカれたオカルト少女役をやらせたら右に出るものはいなかったです。
エコエコアザラクの悪役とかハマりすぎてた。

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及川監督以外の作品も観てみよう。

永井流奈のドラマ版もかなりイケていた。
彼女、これ以降は作品に恵まれず芸能界引退してしまったが、
この作品の彼女は輝いておった。
このドラマ、そのほかに何が凄いかと言えば
いま大活躍している芸能人がチョイ役で出ているのだW
上のシーンは
今、台湾で活躍している田中千絵
RIZEの金子ノブアキ
の貴重な2ショットですよ!
まさかこの2人がカップル役で出てたとはねぇ~
このころの金子ノブアキは普通の初々しい高校生に見えます。
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そういえば、富江 最終章 ―禁断の果実― (2002年):安藤希
には、相手役として宮崎あおいタンが出ているんですよ。
宮崎あおいはB級邦画に出てた頃が
一番魅力が出ていた。
この映画、富江の裏テーマである
百合要素を、ひっくり返して表テーマにしてしまった
珍しい映画でした。
男性を魔性で支配する富江、
その富江のお世話をすることで
権力欲や自尊心が充たされる富江の女友達・・・という
構図はそこに百合要素を含んでくるんだけど
安藤希&宮崎あおいの映画版の場合、
それを全面に押し出した結果、
伊藤潤二ワールドを離れた
完全な二次創作映画になったように思える。
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ちなみに、図らずも
ギャグ要素だけ取り出して作品化になった映画も・・・
富江 re-birth (2001年):酒井美紀版
は・・・名古屋のミニシアター
シネマスコーレで観たのだが・・・
地味系清純派の酒井美紀が富江を演じるのは
無理がありすぎ、
劇場内が笑いの渦に包まれていました(実話
ホラー映画で、観客が爆笑って
最初で最後の経験ですよ、あれは・・・
清純派から脱却したかったのか?
魔性の女というよりは
ただ単に性格破綻している人、に見えました・・・。

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今回のブログ記事をまとめると・・・

伊藤潤二先生、元歯科技工士だけあって
技術は凄くある。耽美な絵も超絶上手い。
ただ、設定やストーリーなど
わりといきあたりばったりで詰めが甘い。

そこが逆に、魅力となり、二次創作のネタとして重宝され、
邦画の世界で二次創作の富江映画が百花繚乱。
若手女優を魅力的に見せ、それなりに客も呼べる
作品群が大量生産された。

その中で作品として特に評価できるのは及川監督の2作品。
(個人的な主観だが)

またアイドルを起用し、永井流奈という
アイドルの魅力を引き出した作品として
TVドラマ版も価値がある。

安藤希×宮崎あおいの作品は、
「富江」というキャラを使ってはいるものの
思春期特有の百合っぽさを描いた
オリジナル作品になっている。

これからも、富江シリーズは若手女優、若手監督の
創作素材として、もっと使われていけば良いと思う。
これだけ二次創作に向いた素材はそうそう無いし・・・。

なにより、伊藤潤二先生がそろそろ富江の新作を
描いてくれれば二次創作分野も盛り上がるのでは・・・?
猫漫画もいいけど、富江シリーズ新作をぜひ!

ゴスロリの富江とか描いたら、人気でると思うんだけど・・・?

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 富江のコミックは下記の2つで
網羅できると思います。
総集編と続編(Again)の2冊。

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