2012年12月9日日曜日

日本図書センター『学歴・競争・人生』

企業についての講義の到達目標に・・・
「ビジネスにおける学歴の意味を説明できる」という項目があったものの、
いまだに自分がよくわかっていなかったため・・・

注)自分の状況:http://riekonaito.blogspot.jp/2012/07/blog-post.html

どうしようかと考えあぐねていたところ、
いいタイミングでこの本が出ました。ナイスすぎる!


ここに「なぜ、就職活動に学歴は必要なのか?」と
丁寧に説明してあります。

この本のP5~

1)学歴がなくても優秀な人材はいるのだからこれからは個性だという意見がある
2)じゃあ、個性のみの時代になるか、といえばそうでもない

ここで個性という曖昧な言葉を解体する本書(偉い!

*個性って生まれ育ちのことだから、まだ学歴のほうが平等

注)自分の生まれ育ち:http://riekonaito.blogspot.jp/2012/11/blog-post_26.html

*学歴という競争を避けてきた人が「意欲ある」といっても信じがたい
*いくら医師不足だからといって、学歴の競争を避け、医学部に通う
こともしなかったスキル不足の人に医師はできない
*というわけで、学歴の利点はイヤな面もあるが、いまのところ利点のほうがでかい

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では歴史的に考察していこう・・・というのがP17~


1)江戸時代は士農工商がはっきりしていた
     →明治維新で欧米に負けないために能力主義へ
2)これ、日本だけじゃなくて、欧米でもおこった変化
3)近代化がすすむにつれて、能力重視になることをメリトクラシーといいます
メリトクラシー↓

このような社会になることを
社会学者マックスウェーバーは予想していました。


だから、大学入試を廃止してもまた
別の競争のステージが用意されていくことになる。

このヒントになるのは海外の事例

たとえば、アメリカの場合・・・
高校時代のがんばりを個性的に評価してくれるし
フランスでは高校の卒業試験に合格すれば
誰でも好きな大学に入ることができます。

じゃあ、競争原理はどこへ行ったのか・・・?

といえば、大学在学中に競争することになります。

それにアメリカでも、倍率の高い大学もあるし
フランスではグランゼコールという
超エリートコースが存在し、
そこでは熾烈な争いがおこっている。

しかしながら、日本の入試はやはり
他国と比べて入試一極集中になってることは確か。
(韓国などのアジア圏も同じようなことに・・・)

この「アジアの入試だけちょっと変種になる」ことを
すでに30年前に気づいていた人がいました。
ドナルドドーアです。

1)日本は欧米に追い付かねば・・・という焦りがあった
2)その結果、東大・京大=出世ルートとなった
3)この構図は戦後もかわらない
4)戦前のエリート養成機関がいまだに
難関となっているのは、この「後発効果」なんです
(つまり近代化が遅ければ遅いほど追い付くために追い込む)
5)さらにいうと韓国では科挙の歴史が長いために文化的影響もアルカモ?

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話は飛びまして・・・P179~


じゃあ、低学歴じゃダメなんですか??
・・・という話になる。

ここが肝心なんだ!!

この本のキモはここだ!!

低学歴を「軽学歴」と言い換える提案をしているのだ!!

軽学歴は悪ではなく、別次元の価値観だ、
という新機軸!

ただし軽学歴にはこんなメリット・デメリットがあるそうな・・・

*手軽な人生旅行が可能です
*格安チケットなのでキャンセルはできないし別便には
変更はできません
*でも旅の行程がしっかり決まっていれば断然お得です
*18歳のときにやりたいことがはっきりしているのならば
専門的な技術を身につけるために専門に行ったりするほうが
時間もお金もオトク

・・・・というのがこの本の提案です。
たしかに一理ある。

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<以下、私のコメント>

そういえば・・・京大大学院を修了した人が
鳶職になっているニュースを見たことがあるが、
すごくすっきりした顔をしていた。
鳶職は技術的にも高度だし、
もちろん立派な職業であるが、
京大大学院は直接的には関係ない。
中卒のほうが鳶の世界ではベテランでエリートである。

では、彼の人生における「研究」は無駄だったのか?
無駄ではないと思うのだが・・・?

というか、学問や研究自体が内面を豊かにし
即物的な意味ではなく
人生に意味を持たせるもので
あるので・・・格安チケットのほうがオトクと
言い切ってしまうのは問題があると思う。

京大→鳶職の彼は、
研究し、院でエリートと呼ばれる人たちと出会い、
人生勉強もして、そのうえで、現場作業を選んだ。
彼の紆余曲折をロスの多い人生といってしまうのは無茶だ~
(まぁ、たしかにロスといえばロスなんだけど・・・)

ここで、自分の話もしなくては・・・

自分の周囲では、受験経験者はほとんどいなかった。
が、そんな中、わけもわからず
小学校の先生や親に薦められたのもあって
中学受験をすることに・・・受験はマジでしんどかった。

中学受験で第一志望合格→受験勉強から解放され喜ぶ
→中学まで優等生→高校でダレる
→が、文系科目だけは得意だったのでなんとか推薦をいただく
→大学でダレる→働く(非正規・ってか似顔絵師)
→院でがんばる→働く(非常勤・イマココ)

自分の場合は、東大や京大に行ったわけでもないし、
結局は地元から出なかったので
東大京大の超エリートの人たちの気持ちは正直、わからない。

(注:のちにお茶大に雇用していただき
3ヶ月間研究員をして
東京生活を経験しコンプレックスが緩和された)

でも、純粋に尊敬する。
東大や京大に入る受験技術を磨く努力、
他の誘惑を断ち切り、受験という競争に勝った経緯は
尊敬すべきじゃないかと思う。
だから、優遇されて当然だと思うし、それは否定しない。

その反面、自分の場合、中学受験のせいで、
当時の年齢で経験しておくべき精神的な成長を
切り捨ててしまったこともわかっていて、
受験の弊害のようなものもわかる。

自分の場合、超エリートではないが、
地元でがんばったりダレたり、
またがんばったり・・・を繰り返し、
恐れ多くもアカデミックな場所に出入りさせて
いただく機会もあり・・・
ファスト風土&アカデミックな世界
の両者の世界観をなんとなく知っている、という
ところに落ち着いている感じがする。

それら両者をふまえて言えば
軽学歴層・高学歴層
どちらにも面白い人と面白くない人がいるし
人間的な器が大きい人もいれば、小さい人もいる。

だから、学歴で人間的な判断はしない。
しかし、東大や京大に行く人の努力はきちっと尊敬する。
スポーツで頑張る人も尊敬する。
そんなスタンスかなぁ。

どこの世界も村があって、その村の中には
独特の論理があり、文化がある。
その村の中で(現場で俺がんばるから村、
受験戦争村、スポーツ村、アパレル村などなど・・・)
努力している人は皆、それぞれに尊敬されるべきなんだ。
他の村から「あの村で努力したって無駄」と
言われる筋合いはないのだ・・・。

ただ、どこの村に属するのが適しているのかを
早期に判断できたものは、紆余曲折という手間を省ける。

ただし、紆余曲折こそが人間を育てる側面もあるから、
安易に「ロスの少ない人生を」という提案もどうかと・・・。

結論としては・・・面白くて器の大きい人間になれれば
どこの村にいても、きっと幸せになれる。

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この記事へのコメントは以下です。

Oさんhttp://riekonaito.blogspot.jp/2012/06/2.htmlのコメント:人間の能力は多面的で簡単には評価出来ませんよね。内藤先生の指摘通り、学歴は目的に対して努力したり要領の良さの判断にはなりますね。
人生の幸せの判断も多様ですね。
当ブログの常連・IGW先生のコメント: 内藤先生のご意見に私も賛成です。最近は企業も学歴で門前払いするケースもあるようですが、「偏差値40レベル」の大学にも一定程度は非常によい(人間性の良い、あるいは意欲のある、実質的な思考力の高い、など)学生さんがいることは声を大にして申し上げたいです。

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