2012年12月30日日曜日

速水健朗『ラーメンと愛国』×秋本治『こちら葛飾区亀有公園前派出所』

速水さんの本『ラーメンと愛国』



を読んでいたら、
どうしても、こち亀の「両さんの繁盛記!」を思い出してしまう!
「両さんの繁盛記!」では
「経営コンサルタント」の副業をする両さん(いうまでもなく本業は警察官)
が出てきて、そば屋を「伝統的」に見せるべく
小学生が図工の時間に作った土器を丼に使ったり、
店主にコスプレをさせて「店主変わり者→こだわりのダシ→美味しい」という
イメージを演出し、
グルメ評論家の大前田長五郎が
「ただ者ではない!」(たしかにコスプレで、ただ者ではない感じ出てた)
と評価、思わず7つ星を出す・・・という
エピソードがあったような・・・。(私はアニメ版を観た)
大前田は味がわからないのに
「なんとなく美味しそう、凄そうな空気感」に
流されやすいタイプの評論家なんだよなぁ。

調べてみると、このエピソードが収録されているのは
コミックスだと1987年発売の47巻かなぁ~

だとすれば、90年代にラーメン屋さんが
コンサルティングの会社によって
一斉にイメージを変える時期の一歩手前で
このコミックが描かれていたことになるのかな?
やはり秋本治って時代の流れを読むのが上手いなぁ。

ここで調べると分かりやすい:http://www.hatosan.com/ensoku/2011/05/1406316.html
(コンサルティング料売り上げの10%とっているよ、両さんWW)

ラーメン屋さんのイメージ戦略は
両さんのコンサルティングと
けっこう共通するものがあるんだよなぁ。
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この『ラーメンと愛国』で



推したいポイントはここだ。
「ラーメン屋さんが作務衣を着始めたのはなぜか?」という
点を明らかにしたという偉業である。
もともと明治中期に中国人居留地から入ってきたものが
なぜ日本の陶芸文化っぽい服装と結びついたのか
明らかにしたのは面白いと思う。

そういえば、昔、なぜか親が作務衣にハマり、
小4の時に作務衣&ゲタを着させられていて
なんだかとてつもなく違和感を感じていた思い出が・・・(涙
もともと甚平も着ていたんだが・・・(まさかの甚平推しは以下の小学生日記にて
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/10/24.html


「ラーメン店ドキュメンタリー」系の番組を観ていても
なぜかラーメン屋さんは作務衣系。
丼をつくっているわけじゃないのに
丼の中の麺をつくっているのにラーメン屋さんが陶芸家風なのはなぜか?
これ、いつからなんだろ?という素朴な疑問を解明してくれます。

この本のP207~
1)1980年は白いコックスーツや中華風エプロンだった。 

2)あるときから突然陶芸家スタイルに
これは「博多一風堂」の河原成美が始めた。 

3)ガチの作務衣を着ている店はそんなに多くはないが、
「作務衣風Tシャツ」を着る店がかなり多い。

4)90年代のラーメンの世界は「伝統工芸職人」のイメージを
取り入れたことにより、このようなことになった。
ただし、本物の陶芸家は作務衣を着ている割合は少なく
あくまでも「なんとなくイメージ」「片岡鶴太郎的なアレ」なんだそうだ。

5)ここで一風堂の河原さんの話になるが・・・
もともと、彼はバーやレストランで成功していた畑の人なんだそうだ。

もう一人、同時期に元アパレル畑の山田雄氏が
和でラーメン店を開店して成功している。
彼が、とんこつと魚介を混ぜたスープを発明したことによって
ラーメン屋さんは「職人」アイデンティティをGETしたんだな~

(私のコメント:ダシ・・・というか「何らかの配合」が
絡むと、職人アイデンティティGETできるのかな。
たぶんこれ、
陶芸家の釉薬配合→職人アイデンティティ
・・・の模倣だ。ダシの配合→職人アイデンティティに応用したんだ。
我が家が飲食店やっていたが、従業員の誰ひとりとして
職人アイデンティティをGETしてなかったのは、
ナポリタンスパゲティにはダシの配合が絡まないからなんだな・・・)

6)パイオニアは河原氏であるとして、
それを全国区に広めたのは「パシオ」というコンサルタント企業の
存在があるらしい。この会社が80年代のラーメン屋さんを
「和」のイメージに変えていく作業を行ったため、
ラーメン屋さんの壁には手書き筆文字人生訓が書いてあるわけですな。

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あと、241ページ~
ラーメンポエムのルーツを
1984年開店の「九州じゃんがら」と明確にしたのも
スッキリした。いまはこのラーメンポエム的な
文化が全国的になったような。
この小説にも登場しました。
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/09/blog-post_7.html
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<私のコメント>
うーん、
やはり、この「和」の演出は
こち亀の「両さんの繁盛記!」
スピリットを感じるのだが・・・。


あと、飲食店のコンサルティング業は「テーマ化」をなくしては
語れないですよ。

詳しくはこちらへ:http://riekonaito.blogspot.jp/2012/05/blog-post_5582.html

バーやレストランの畑の人が
ラーメン屋さんを開いたとしたら、ハードロックカフェの「ロック」という
テーマを「和」にしてもおかしくないんだよね。

ハードロックカフェが日本に上陸したのは「洋楽」というテーマがあったからで
逆に、一風堂が世界を狙うとしたら「外国人にも分かりやすい和」を
テーマにする必要があったんだよな。(実際、海外進出しているし)
キャメロン・ディアスがホームウェアにKIMONO着ている感じの
「和」が必要になってくる。

反対に、愛知県のみで展開しているチェーン店「寿がきや」が
店舗も店員の服装にもまったく「和」を取り入れず、
白を基調にした独特のイメージを守っているのは正解だと思う。

「伝統の職人」っぽい感じがないので、
敷居が高くならずに、気軽に食べることができる。

愛知県民は何の演出もしていない「寿がきや」の質実剛健さに
他のラーメン店にはない安心感を見出し、愛していると思う。
「ソフトクリーム大量使い」「安い」「早い」「うまい」は
まさに愛知県にウケる要素満載。
 
この『ラーメンと愛国』世界観が
日本のヒップホップと
融合しているのではないか?
という続編記事はこちらになります↓

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