2013年1月19日土曜日

リンダ・グラットン『ワーク・シフト』



キンドルで読んだ本。

うーん・・・いいたいことは分かるが、
ロンドンビジネススクール教授が書いた本だけあって、
「東大卒、電通から独立したいと思っている人」が
読めば参考になるかもしれない。

カリヨン・ツリー型のキャリアなど
まさにその層を想定している。

が、日本でこれをやろうとすると

スタートラインがまずは東大で電通に入り
→電通でコネつくっておく
→自分探しの旅
→戻って違うプロジェクトに参加・・・

くらいのエリート層じゃないと、大変なことになるのでは・・・?

自己再生の場選び・・・つまりどこに住むのか?問題も
「知識労働のバーチャル化」を大前提にしていて
現場で働く人のことは蚊帳の外だ。
事件は現場で起きるんですよ、リンダさん!!

たぶん、いまの日本で、電通社員以外の人が
これを真似すると、こちらの物語になる。


=====================
『ワークシフト』の話に戻りまして・・・

第一のシフトとして「ほかの人にはない高度な知的資本」として
それを前提にしているのだが・・・
ってか途中で気付くのだが、
「著者以外でこれを実践できる人っているのか?」
と思ってしまう・・・。
「知的資本」「人脈」「ギルド」「自分のアイデアをすべて実現」
「働くのは充実した経験をするため」とか
著者と著者の周囲にいるエリート層の友人の「内輪ネタ」のように思える。

ハーイ!リンダ、今度の著作すばらしかったよ。
自分も働き方を考え直すきっかけになったよ。

ワーオ!ありがとう

的な内輪ネタにしか思えん・・・。

格差問題などは、ほぼ放置。

ホワイトカラー以外は読者層として想定にしていないにしろ、
何考えているのか?とツッこみたくなるほどの放置ぶり。

2025年に生きているブリアナという架空の人物(ワーキングプア)を想定し
自尊心が傷つき、不安にさいなまれ、平均的に早死にする・・・とか・・・
これ、勝手な予想ですよね・・・?

消費からシェアへ・・・という理想論も乗っているが
うまくまわっていくのかいな??
(ロンドン郊外のローズヒル地区では自動車と
オートバイの共有がうまくいっているらしいので
不可能ではなさそうだ。いまの日本でこれは可能なのか?)

この本、エリート層の内輪ネタと理想論のような気がするけど・・・
(注:ロンドン在住の方にお聞きした情報によりますと、
英語圏のエリートは助け合いの精神が自然に身についていて
理想論ではなくリアルな話なのだそうです。
ファンタジーとかではないようです。

あえて参考になる項目があるとしたら、
「ナルシシズムと自己アピールの時代」という項目かな。

2025年には、もっともっと「ネットでの自己アピール」が加速すると予想されている。

これは頷ける。

アービング・ゴッフマンの1959年の著書『行為と演技』との比較で
わかりすくなっている。
1959年の場合は「時間をかけてゆっくりと自分がどういう人間か見せていく」
というプロセスを大事にした。
========================
現代はもっと、違った事態になっている。

たとえばこうだ。

本書では、1995年生まれのサミーという17歳の女の子のfacebook
プロフィールが引用してある。(一部略)

好きなものは MINIの自動車、レッドソックス、iphone、エクササイズ、
カワイイ飲み物、セフォラのコスメ、ハドソンのジーンズ、ブリトニー・スピアーズ

・・・1959年の時点では、「役割演技」をすることで
自分の印象を操作したが、
いまでは、自分の情報をまき散らすことができ、一瞬で自己イメージを操作できる。

ここで指摘しているのは
サミーが「好きなもの」として挙げているのは
自分がどんな人間なのかを印象づける「世界共通通貨」であるとのことだ。

これは参考になるかもしれない。

ツイッターでも、好きなものを羅列して自己紹介している人がいるけど
非常にわかりやすいし、友達も作りやすい。
自分も、ブログの自己紹介で使っているしW
「犬」「映画」「アトラス」の組み合わせでなんとなく自己紹介ができる。

もっと細かく自己紹介するとこうだろう

好きなものは 本、チワワ、女神転生、須田ゲー、どうぶつの森、
鷹の爪、Tシャツ、映画、気分転換に整理整頓をすること、X-BOXユーザーです

・・・もしも、自分がリア充アピールしたいのならば
ここに「スポーツ観戦」を加えればいいし、
地元愛をアピールしたいのなら「中日ドラゴンズ大好き☆ドアラLOVE」など
記述すれば良いのかもしれない。

私のコメント==========
でも、これ、ネット上の自分のアバターをどう印象操作するのか?
というテクニックでなんだよな~

1959年の「ゆっくりと時間をかけて自己開示」という基本も
忘れちゃならないと思うし、両方あってこそなんだと思う。

現実とのキャラとあえてギャップをつくって
差異化するという手法も
使えるのでは・・・?

あと、この本ではロンドンのビジネススクールに通う層や
電通社員レベルのエリート以外は切っている感じだが、
エリート層以外の絆の強さを全然わかってない気がする。

2025年、格差社会が広がり、ワーキングプアと呼ばれる人たちは
ますます孤独となる・・・なんて予想しているが
DQN層の絆の深さをナメているのではないか?と思われる。

逆に、災害などの窮地に立たされた時に強いのは、
著者がいうような「ポッセ」や「ビックアイデアクラウド」や
「美しい土地で自己再生のためのコミュニティ形成」などではなく・・・

『ハマータウンの野郎ども』のような絆である。



でも、大半の人が『ワークシフト』を活用できるような
電通社員的なメンタルを持っているわけでもなく、
かといってハマータウンの野郎ども的な
「濃い地元コミュニティ」を持っているわけでもない。
そんな層が、どのように居場所を作ればいいのか?
といえば・・・この本をおススメする。
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/10/blog-post_5036.html

内藤理恵子の読書道:記事ラベル

宗教 鷹の爪 ガールズカルチャー 哲学 若者文化 仏教 映画 文化人類学 ゲーム考 社会学 キャラクター文化 月刊住職コラム連載 ヤンキー あじくりげ映画コラム連載の掲載報告 アニメ ジェンダー 2014現代文化 中外日報シネマ特別席掲載のご報告 仕事について 2014年「世界の宗教」講義録 90年代サブカルコミックエッセイ ヲタク文化 消費文化論 2012前期哲学(火曜)講義録 2012前期現代文化(木曜)講義録 対談シリーズ テン年代自分崩しの旅 脱力系ネタ 音楽 新聞・雑誌掲載関連 漫画考 2012前期哲学(月曜)講義録 小説 2012後期倫理学(金曜)講義録 2012後期哲学(火曜)講義録 心理学 自分探し 迷走コミックエッセイ 雑学 2000年代自分探しコミックエッセイ 2012後期社会と企業講義 研究論文関連 2012前期社会と企業(水曜)講義録 2012後期スポーツと企業講義 2013前期文化人類学(火曜)講義録 とびださない!どうぶつの村 2013前期 社会と企業 講義録 2013前期現代文化講義録 ポストモダン 日記 美術 2013哲学講義前期 現代思想 1990年代生まれの謎 企業 実用 ツインピークス祭 倫理学 KAWAII文化 アイドル考察 スクールカーストについて ドビ子の微妙な冒険 リンチ監督 旅日記 映画バカヴォンの予習のためにウパニシャッドを読む 私の体験談 そもそも教育って何なんだ?論 インテリア スポーツ美学 ドビ子博士GOを目指す 古墳ギャルコフィー 理恵子のお片付けダイアリー 純喫茶の「純」とは何か 『必修科目鷹の爪』読者限定☆リンク集シリーズ イカ部 オカッパ部 ジャバラネットナイトウ(おすすめのモノのご紹介) 名古屋 経営 経済 いじめ問題 ふつうの日記 まど☆マギ 似顔絵師ドビ子の放浪記 月刊住職連載 さんぽ日記 内藤理恵子イラスト作品集 読書について 『少女革命ウテナ』考察 まとめシリーズ 寄稿文 手芸キット レポートの書き方 ドビ子連続ネット小説「塩辛いちゃん」 何か間違っているオシャレ道 別冊spoon.34 散骨 松田優作ファミリー TV出演ネタ 2013年後期 哲学(火曜)講義録 写真 初音ミク×般若心経 構造主義 買い物道 わび・さび ドビ子が書評を演じます ドビ子アナザーワールド ラジオ出演ネタ

この窓の右端の▼をポチッとするとタイムトラベル