2013年1月20日日曜日

『増補 サブカルチャー神話解体』(宮台真司・石原英樹・大塚明子)

えーと、ここでhttp://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_6846.html
イカについての記事を書きましたところ・・・

昨年、受講されていた学生さんからこのようなコメントが!
イカでクトゥルフときたので、邪神から触手出てエロゲ展開にするとかいう昨今の同人界隈の事について嘆いていたゼミの友人の話を思い出して、せっ先生まさかと思って読んだら全然違っていたのでちょっと反省します


・・・・WW

でも、これ、なかなか面白い視点でして・・・
女性が触手と交わるという発想は、わりと古典的な
アニメの手法でもあり、遡ると葛飾北斎にまで辿りつくのです。

葛飾北斎を出しておけば、文化の香りがするので
ブログ記事にしても大丈夫だと思うのですが・・・W

海女と蛸の絵:http://f.hatena.ne.jp/k1491n/20120921072835

これが触手×女性の元祖だとされているようです。
現代美術の会田誠も、この作品に影響を受けて作品を制作されているとか。

しかし、この葛飾北斎の絵はなにをどう経由して
現在の同人誌界隈のモトネタになっているのでしょうね??

それを知るにはこの本が一番良いと思います。




↑そして、この本を理解するには、まず
以下のリンクで「コミケ」の歴史を知ってください。
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/10/blog-post_8187.html

そして、それを前提に
『増補 サブカルチャー神話解体』の
P352~を読もう。

80年代、若者の文化は
「新人類的なもの」「オタク的なもの」に分化した。

ここで「分化によるシェルター」が形成され、
「オタク的世界」で安心して
ヘンタイ漫画を消費できるようになった。

コミケの制度化や、雑誌投稿欄で「仲間の可視化」が
行われ、「ヘンタイ的」なマンガが需要できる基盤ができたということ。

1)アニメの二次創作と重なりながら、
新たな『エロ漫画』へと向かい始めた
2)メカと少女、SF、ホラー、SM、女性同士の同性愛、猟奇的なものなど
エロのインフレものはさらなる多様化と増殖を続ける
(私のコメント:ここらへんに葛飾北斎の「海女と蛸」の
イメージの引用がなされ、
触手アニメというジャンルが形成されたのでは?)
3)85年には美少女コミック誌が創刊
4)89年にコミケが幕張メッセに移動
5)このせいで、反動も起き、90年には「有害コミック」規制運動
91年「ワイセツ物販売目的所持」容疑で同人誌サークルが書類送検
6)でも、それにもめげず、エロのインフレはおこり続けている。

=============================
<以下、私のコメント>

ちなみに、冒頭で触れた「触手と女性」の交わりを描いた
アニメーション作品は・・・80年代後半には
商業的なアニメ(オリジナルビデオアニメーション)
として登場しいているので
同人業界界隈の動きがあってこそ、商業的なアニメにも
このようなモチーフが使用されたのかもしれませんね。

なお、触手はさておき・・・
男×男(女性が消費する)や、女×女の漫画(男性が消費する)
が形成されてきた過程を見てみると、
男×男の作品の誕生のほうが早いみたいですね。

男×男を少女漫画に登場させたのは竹宮恵子先生。
で、同人誌界隈に爆発的に男×男の二次創作が
広まったのは、1990年代の『スラムダンク』がきっかけのようです。

ただ、ゼロ年代の『テニスの王子様』が
『スラムダンク』と違うのは、『スラムダンク』が

リアルなバスケ漫画→そこから妄想を膨らませた同人誌界隈の作家が
勝手にカップリングして創作

なのに対し・・・

テニプリはあきらかに

二次創作素材提供としての商業アニメ制作→
どうぞご自由にキャラをご使用に
なって同人誌などで盛り上がってください!

・・・・・・的な要素が盛り込まれいることだ。
「同人誌作成キット」としての
キャラの詰め合わせお重三段重ね的な
豪華なアニメとも言える・・・?!

これは東方
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/11/blog-post_2072.html
にも言えることで、ツールや発表の場が拡大した現在
消費者の中で「享受するだけではなく、創りたい」という願望が
一般的になってきた。

ただ、設定やキャラなどから創作することは
非常に難しく、第三者に見せても理解されるレベルまで
持っていくのが難しい。
だからこそ、商業的なアニメは消費者が「二次創作しやすいように」
作品を提供していく必要があるのだ。

二次創作しないまでも、コミュニケーションツールとして
「**くん素敵だよね、いや、私は***くんだな」と
女子会で盛り上がれるように、作品に妄想の余地を
つくっておくことが大切なのだろう。

ちなみに、男性が消費する女×女(百合モノ)の作品が広まったのは
1990年代の『セーラームーン』がきっかけみたいですね。
セーラームーンはあきらかにウラヌス×ネプチューンという
百合要素戦闘員カップルがいたので、二次創作もしやすかったことでしょう。

90年代末にはウテナ、現在では『まど☆マギ』がそこらへんの
流れを汲んでいるのではないでしょうか?
もろに『ゆるゆり』ってのもあるし・・・。

=============================
☆おまけ☆

ちなみに・・・
『増補 サブカルチャー神話解体』ですが、
「こじらせ女子」の考察
(こじらせ女子問題を余計こじらせた問題については以下のリンク集をご覧ください
http://riekonaito.blogspot.jp/search/label/%E3%81%93%E3%81%98%E3%82%89%E3%81%9B%E5%A5%B3%E5%AD%90%E5%95%8F%E9%A1%8C%E3%82%92%E4%BD%99%E8%A8%88%E3%81%93%E3%81%98%E3%82%89%E3%81%9B%E3%81%9F%E5%95%8F%E9%A1%8C
に役立ちそうな項目もあります。
以下は、70年代初期に問題化した「私だけがわかる私」という
自意識の誕生についての記述です。
 
『増補 サブカルチャー神話解体』P125~

「みんなはちゃんと恋愛できているのに
私だけダメ」といった「不確かさ」の意識こそが
「私にしか分からない私」のナルシシズムの中核を
構成していたのである。


<以下、私のコメント>=========
なお、1990年代生まれの場合はネットによる他者の自己開示
に多く触れるため「あ、自分だけじゃないんだ」という
気付きがあるのでこのナルシシズムは薄いと思われます。
 
そして、「こじらせ」か「つきぬけ」の違いは
この種の「私だけがわかる私」の「ナルシシズム」に
耽溺し続けているか、
脱却しているか、の違いだと思う。

こじらせ女子が「乙女ちっく」なのは
どこか少女漫画のヒロイン要素があるからだ。

「あたしってダメね。あの子みたいにはいかないもの」
的な内省がどこか「乙女ちっく」なのだ。

苦難の末、素敵な女性に変身し、
モテ系になり幸福になるという顛末も
どこか『赤毛のアン』や『シンデレラ』
『みにくいアヒルの子』や少女漫画的な
古典的な女子の国の世界観を感じるのだが・・・。

それに対し、つきぬけ系は「私にしか分からない私」の
ナルシシズムを脱却して、

「じゃあ、自分しかわかってないナニかを
アート作品にして、お見せしましょう」・・・だったり

「じゃあ、自分の苦しい経験をお笑いにして、皆を笑わせて
あげましょう」・・・だったりするのだ。

映画で説明すると・・・こじらせの場合は
どこまで行っても「あたし」「あたし」「あたし」・・・の
連続で語られている感じで
映画『マルコビッチの穴』で、自分の脳内に
自分本体が入ってしまったジョンマルコビッチの
シーンを見ている感じがしてしまう。(以下の動画)

一方、「つきぬけ系」は、マルコビッチの穴から
脱出してから
活動している感じがするので
そちらのほうが個人的に好みです。
(あくまでも個人的な好みです。人それぞれに
自分だけのロールモデルがあっていいと思います)

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