2013年1月21日月曜日

【究極の文系イカ本を発見!】『イカの哲学』(波多野一郎・中沢新一)

NHKのイカ特集をきっかけに、
イカを宗教的に考察
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_6846.html
→触手アニメ・・・
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_20.html
と思わぬところに
展開してまいりましたが、ここで『イカの哲学』という
究極の文系イカ本に出会いました!
(この本の存在をお教えくださった方ありがとうございます)

このようなユニークな哲学本に出会ったのは
初めてで・・・いまだかつてない衝撃を受けております。


この本、1965年に波多野一郎という哲学者が
ごく少部数のみ出版して『イカの哲学』という
作品を収録し、さらにそれを中沢新一氏が
それを展開するという新書です。

まるで冷凍イカで頭を殴られたような衝撃でした!

波多野氏がイカにしてこのようなユニークな哲学を
生み出したかと言えば・・・

1)戦時中に神風特攻隊に志願
2)死を直前に思い悩む
3)その後、命拾い
4)アメリカ留学
5)留学先の漁港でイカを箱詰めするアルバイト
6)特攻隊での自身の存在とイカの死骸をリンクさせる
7)とつぜんイカの実存主義に思考が飛翔
8)・・・するが、結婚し、幸せの絶頂で脳腫瘍で早世
(しかし、病床で『イカの哲学』を執筆、遺書のような哲学書となる)

・・・という凄まじい人生の波多野氏。
(アウシュビッツの経験を基に哲学を構築した
哲学者レヴィナスもいますし・・・このような経験は
辛いけれども、だからこそ、その経験を
思考の飛翔の礎にする哲学者はいます)

この波多野氏の遺書のような哲学書は、
実際にこの本に収録してある作品を読めば良いかと・・・

波多野氏の一番言いたかったことはこれだと思う。

今や、彼は数万のイカとの対面を続けている中に、
世界平和のための鍵を見つけ出したのであります。
乃ち、相異なった文化を持って、相異なった社会に住む人々が
お互いの実存に触れ合うという事が世界平和の鍵なのであります。

この非常にユニークな波多野氏のイカ哲学を
中沢新一氏はどのように展開しているのか?

たとえばこのように展開してある。

1)いまだ謎の多いイカ
2)イカは哲学者に瞑想を誘う生き物で、古代ギリシャの哲学者も
イカの神秘的な生態を主題とするいくつもの哲学論文を残している
3)多くの民族の神話でも、イカは重要な存在だった
4)いまも昔も、イカの生態・・・特に大きな目や群れでの行動・・・に
人間は魅了されている
5)生物学者にとっても謎が多い。(それはNHKのイカ特集見ても分かるが)
6)イカは人類の教師であるという生物学者もいるらしい

この中でも、特にNHKのイカ特集
http://www.nhk.or.jp/ocean/giantcreature/
で視聴者の興味を惹いたのは「イカの目」だろう・・・。

ツイッターでも「ニャンコ先生みたい」「エヴァみたい」「巨神兵みたい」
「菩薩峠くんみたいな目」「菩薩峠くんが新人先生に見つめられて
応えてた時の目みたい」などなど話題に!

それがこの目だ!ちなみに蜷川実花アプリで飾ってみた!

えーと、本書『イカと哲学』ではこのイカの目に着目しています。

生物学者のライアル・ワトソンによれば
イカの目は非常に発達していて、膨大な情報を集めることができるそうです。

人間の目、いやそれよりもさらに発達している感じがするのは
気のせいではなく「虹彩」「焦点調節可能なレンズ」
「色やパターン認識が可能な網膜」までフル装備。

しかし、目から膨大な情報量を得ているのに
それを処理する脳が原始的。

これが最大の謎のようです。

この本の場合・・・ここでイッキに思考が跳躍しすぎてて
神秘的な感じになっていまうのだが・・・
これは賛否両論あると思う。

本書の跳躍しすぎな論理は以下

1)イカは膨大なデータを自分よりも大きな存在のために収集する
2)人間の中にも「イカ的な存在」がある
3)つまり、人間が言葉で処理している部分なんて氷山の一角で
あとは実はよくわかってない。膨大なデータを無意識に送り込んでいる
4)イカとそう変わらない。人間の実存。

私はこの跳躍っぷりは好きだし、哲学っていうのは
所詮「よくわからない世界」をイカのような存在にすぎない人間が
イカにこねくりまわすか、に過ぎないんだな~と気づかされる。
 
<以下は私のコメント>==========
中沢新一氏は波多野氏の
『イカの哲学』をバタイユと結びつけたけれど・・・
 
私は、波多野氏の『イカの哲学』を
自分なりに以下のように整理してみました。
イカ的なもの=無意識のようなもの
あるいはイカ=人間の実存
と喩えて考えてみよう・・・

1)人間の中に「イカ的な存在」があるとして・・・
その中に「元型」を見つけようとしたのがユング。

2)イカ的なものは分析不能。
所詮は、すべて言語ゲームにすぎない
と言ったのはヴィトゲンシュタイン。
語りえぬイカ的なものには沈黙しようとも言った。

3)オスのイカがメスのイカを分析して
「性的な抑圧でイカんことになっているよ」と
言ったのがフロイト。
 
4)イカの種族によって、
全然行動パターン違うけど優劣ないよね~
それどころか、全然交流のないイカの群れどうしにも
共通の行動パターンあるぞ!
と気づいたのがレヴィ=ストロース
 
5)イカのような神秘に触れると危険だから、触らないようにして
戒律守ろうぜ、と言ったのが旧約聖書

6)イカ的なものに善悪のラベルを付けていくのが倫理学
そもそもしてはイカんことはあるのか?
 
7)人間は壮大な海を泳ぐ小さなイカのような存在

8)イカ的なものを発達させて、精神そのものになり、
民族や国家にまでどんどん発展させ、イカの群れを壮大なイメージ
にしたのがヘーゲル。
そのヘーゲルの思想に反発し・・・個々は
小さな存在で不安や苦しみから逃れられない。
宗教的な実存を目指そうと言ったのがキルケゴール。

9)イカの群れから離れ、一つの個体だけで強いイカになれと言ったのがニーチェ

10)というか、人間をイカに喩えて考えてみると
人間の存在そのものをメタ的に見ることができて、
思考の飛翔が可能となるカモ。
戦争も、イカに喩えると
イカどうしでスミを吐きあったり・・・
それどころかダイオウイカはイカ喰ってるじゃん・・・
人間も武器をつくって他の人間を攻撃したり(スミ吐き)
同じ人間を殺戮する戦争してダイオウイカの共食いと
やっていることと同じではないか?!

という気づきになるかも。

イカを考えることで人間が見えてくる。
ユニークな哲学書が『イカと哲学』です。

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