2013年1月30日水曜日

赤松啓介『夜這いの民俗学・夜這いの性愛論』×西加奈子『漁港の肉子ちゃん』

前回、ここで↓童貞について論じました。
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/dt.html

童貞率が上がりすぎて、
もはや社会現象なので、
宮台センセの恋愛しろ脅迫や
上野センセの熟女に頼めアドバイスは
効力無しと思われる。

そこで・・・過去の日本は
どうして童貞のまま放置されるのことが
無かったのか?という疑問を解くべくこの
本を読んでみました。


でるわでるわ、凄い話が・・・

ちなみに、赤松先生は行商しながら
民俗を調査された方みたいですねー
学者ではなく行商人ということで、
ムラの人々も性愛の話など気軽にしてくれたそうです。

たぶん、民俗学の大御所・柳田氏ができなかったことを
赤松先生がやられたのではないでしょうか。
学者の調査では、ムラの真の姿はわからない・・・という
ハードルを易々と超えたこの書。

まず、ムラの人々が性におおらかだったのは
「田植え」があったから。

本書P21~
1)1950年代に完結した機械化、科学化によって農業は変わった
2)それ以前の農業は天候に左右されたし、手作業だった
3)田植え前後は肉体的な疲労が激しかった
4)過酷であったゆえに、その反面、娯楽要素盛り込まれていたのが田植え

<コメント:つまり、田植えはギャルゲにおけるフラグだったんだな>

5)歌を歌いながら田植えというのもあるが・・・
6)手軽にできる娯楽といえば、アレでしょ。アレ・・・
7)ってことで、そういう要素があった

肉体疲労時にそんなことできるか!といえば
そうでもなく、疲れて消耗しているからこそ
変なテンションで欲望に火が着くパターンだったようだW

赤松先生は調査の際
「アジワイ」という言葉をよく聞いたそうだ。
「アジワイ」とは性的技巧のこと。

つまりこうゆうこと。

1)昔の夜這いの風習で、年上の娘、後家さんなどが
アジワイを若衆に教育し、壮年の男は水揚げした娘を訓練した。
2)夜這いを介して、父兄や母姉が子供や弟妹の「筆おろし」「水揚げ」を
依頼することがあったようだ。(この場合人間的にも信頼できる人物を選んだ)

・・・・・つまり、ムラそのものに、
童貞や処女を脱する機能が備わっていたわけだ。

ちなみに、赤松先生のムラでも「夜這い」があったそうで・・・
赤松先生のムラの夜這いは以下のようなものだったそうだ。

1)15歳で若衆宿に加わった
2)結婚すれば卒業
3)基本はムラの共同作業で仕事をするグループなのだが・・・
4)若衆宿に加わる=夜這いOKという意味でもあった
5)ただし、ムラによって、夜這いのルールが違っていて・・・
「ここまでは手をだしてOK」っていうラインが違ったようだ。
6)一つのムラには15人くらいの娘がいたが、一巡すると、
別のムラに遠征もあったようである
7)ちなみに、夜這いと結婚は別物であった
8)結婚は労働力の確保、
夜這いは過酷な農作業を続けるための機能的構造
9)しかし、夜這いが盛んだと、誰の種かわからんのでは?
という心配が出てくるが、そんなことを気にする人はおらず
誰の子かわからない子を平気で育てる大らかさがムラにはあったのだ。

この「夜這い」は戦前まで、
一部では戦後しばらくまで一般的に行われていて
多種多様な営みがあった。

が、これを民俗学では無視し続けてきた。
柳田國男は、実は赤松先生の近所の出身で
「夜這い」を知っていたはずなのに、それには
触れなかったそうだW

しかし、この柳田氏の潔癖さが、後の日本の性的観念を変えることになる。

一夫一婦制、処女・童貞崇拝という
純潔・清純主義というみせかけの理想は
柳田が現実を無視してつくった
「柳田の倫理観」である。

(ここで赤松先生が猛烈に柳田批判を繰り広げているのに
驚いた。柳田國男の研究は**でもできると書いてる・・・・・・・

その他、赤松先生の民俗学者批判はこんな感じ↓
民俗学者というのはほとんどが世間知らずだから
ムラの人間の公式的な答えで、すぐ安心してしまう。
とくに性民俗などは、よほど信頼されないと
ほんとのことはいわない。)

夜這いのほかにも、若者が自由に性を解放できる場も
紹介されています。
いかに日本がムラ社会の中で
大らかな気持ちで人口を増やしていったのかわかる良書です。

かつての日本は、***ンで、***ンだったのだ。

明治42年生まれの赤松先生がギリギリで
「フンドシ祝い」というのを経験しているそうな。

これ、性教育の実地教育のことなんだけど・・・
だいたい13歳で行われていたそうだ。
もう、童貞も処女もへったくれもなく、
通過儀礼として強制的に
性が実地教育される風習があったようだ。

都市化し、ムラの機能が衰えたのに加え、
国は教育勅語で夜這いを弾圧した。
柳田國男一派が捏造(?)した潔癖な民俗学が弾圧の背景にあった。

その結果が、いまの未婚化・少子化である。


<以下、私のコメント>=======
もちろん、それだけが原因じゃなくて・・・
娯楽の多様化という側面もある。

手作業で田植えをしていた頃は他に娯楽が
無かったんじゃろ・・・
ついったーやふぇいすぶっくなどもないし
えっくすぼっくすもなかったしのぅ・・・
田植えなう、とかツイートしたら気も晴れたじゃろに。

なんだか口調が老人になってきましたが・・・

いま、行政があわてて「街コン」なんぞ
企画しても、たぶん、あんま意味ないわ・・・。

手作業での田植えの高揚感、
誰の子か分からなくても迎え入れる度量のあるムラ社会、
柳田國男の倫理観が持ち込まれる前の朴訥な性欲、
他にもギャルゲイベントみたいな祭盛り沢山、
強制的に実施される実地教育・・・
そして、他の娯楽が無い、
ギャルゲも二次元も無いという選択肢の無さ・・・
これらが相乗効果となって
はじめて「人がうじゃうじゃ増えていく」という現象が起こるのだ。

だからといって、過去のカオスな
ムラの夜這い文化を復活させるのは無理だ。

いまの若者はどうやら「早熟な人はむちゃくちゃ早熟」で
「奥手な人は奥手なまま」という二極化が進んでいると思う。

これ、どっちが良くてどっちが悪いという問題じゃないと思う。
リア充の層と、独りで静かに暮らす層、それぞれが
それぞれの生き方を認め合って、協力していけば良いのだ。

もともと、古事記にも「独神」と「イザナギ・イザナミというリア充カップル」
の二種が存在したではないか!!
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post.html

独神タイプは、リア充のバックアップとして活躍し、
リア充はどんどん国や神々を生んだ。

ここに答があると思うんだよね!!

宮台センセが言っているのは独神タイプに
「恋愛しろ」と拷問のようなことを言っているわけだが
それは無茶だ。

上野センセは熟女に頼めという
かつての「フンドシ祝い」の風習の
復活のようなことを提案しているが
「フンドシ祝い」はムラ社会イエ社会が
あってこその風習だから
それも無茶だ。

じゃあ、現代社会において、どんな話がヒントになるかといえば
この本のストーリーが面白いんじゃないか?と思う。

























自分の子じゃなくても、自分の子のように育てる
肉子ちゃんの大らかさ、
遺伝子に関係なく、子育てのバックアップができる
人間的度量としての母性こそ
いまの日本の少子化を救うカギになると思うのだが。

おまけコメント☆壇蜜ってなんとなく
「夜這いの風習」とか
「フンドシ祝いに登場するオバ」とかの
民俗学っぽい匂いのする女性だよなぁ・・・。
だから見ていて安心感があるというか、
懐かしい感じがするのか?!

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