2013年2月22日金曜日

コリン・ウィルソン『超越意識の探求』

マズローについての記事http://riekonaito.blogspot.jp/2013/02/blog-post_20.html
を書いたら、モトジィからこんな情報が・・・

モトジィ:もしかしたら既読かもしれいけど・・・
tachibana-akira.com/2013/02/5569 
たぶん米国の自己啓発と日本のそれが違うのは社会や文化の違いだと思います。
いま売れてる「スタンフォードの自分を変える教室」なんてまるで「脳内革命」ですし。

私:自己啓発もアメリカンドリーム的なんですかね(^◇^;)
一発当てて、自分がすべて変わるぜ的な発想。

モトジィ:なるほど、脳内フロンティアみたいなw。
日本だと、いつも「おしん」みたいな話に落ち着きますものね。

私:やはりアメリカの西部開拓史のイメージあるんじゃW
まだまだ広大な土地があり、そこで一発当たったら逆転!を
内面にも適用して「まだまだ使ってない未開拓の脳があり
そこで一発当たったらハッピーに!さらに自己実現」ってイメージ。
んで、その一発が「至高体験」っていう名で呼ばれたのでは。

=============================

そこで、今回ご紹介したいのがこの本。



マズローからの流れを思いっきり引き摺って
「超越意識への到達法」
(つまりどうすれば脳内アメリカンドリームを実現できるのか)
で大作を書いてしまったコリン・ウィルソン。
前作の『アウト・サイダー』も読んだけど
芸風があまり変わってないなぁ。
読みやすくなった気もするけど。

でも、この本。やはり脳内フロンティアはアメリカでしかウケないのか
私はこの本を近所のホームセンターの「バーゲンブックイベント」で
発見しました。ものすごい安くなってたよ。新品なのに・・・。

「旧定価」との差が激しいな。





コ、コリン・ウィルソンこんなところにおる・・・みたいな感じでした。
バーゲンブックコーナーは

左側に園芸用品、奥にカップ麺・右に洗剤コーナー・・・
ってポジションに設置されていましたから・・・。

洗剤の横に潜在意識への探求の本が!
これは「センザイ」という言葉のシャレなのか!
と深読みしすぎるところでした・・・。

このコリンウィルソンの本を読むと・・・

「セックスよりも面白いことを見つけろ」
↑私がここのところ何回も言っていることW

「恋愛して自己実現」←宮台派の圧力

のどちらも、ある意味では正しいって気がしてきます。

ってのは、この本のP36~を読めばわかる。

1)まずは、コリン自身のお話。10代の頃に
ほとんど倦怠のうちに過ごしてきた。
(宮台氏のいうところの「終わりなき日常」モードっすな)

2)しかし、コリン氏、モチベ低下しすぎて、道で立ち止まると
再び歩き出すのもめんどいモードになったらしい。

3)コリン氏、ウィリアム・ジェイムスの本に出会い、
自分のモチベの低さの原因を理解した。

ジェイムスは人間の感受性の「閾値」を高低で示したのだ。

要するに、鈍感なヤツはハッピーで
感受性鋭いと辛いってことですW

これ、たしか村上春樹の「ねじまき鳥クロニクル」の登場人物に出てくるよ!
加納クレタ&マルタのエピソードにあった気がする。
あまりに閾値が低いので、日々生きているのが辛く・・・
自殺未遂したら今度は鈍感になって、売春すら平気になった女性の話。

んで、芸術家タイプにはしばしば感受性強すぎるタイプが存在する。

ゴッホが自殺したのはあまりに苦痛の多い人生だったからだ。
感受性が高すぎるということは、
同時に、苦悩を引き受けすぎるってことなんだな。

しかし・・・ジェイムスは哲学者シャルル・ルヌヴィエの見解で救われたそうだ。
ルヌヴィエの自由意志考察により
「いくらでも好きなだけ思考の方向を変えることができる」
ということに気付き、それによって楽観的な観点を獲得した。

ここでマズローの話になるのだが・・・
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/02/blog-post_20.html
マズローもまた「思考の方向」で抑鬱は防げるとしている。

フロイトのように「あなたの神経症は性欲が原因です」なんてことは言わない。
ある女性が抑鬱状態になったときにカウンセリングを行わず
「夜間学校で社会学を学びなさい」って言っただけ。

つまり・・・すごく簡単に言いかえると・・・
フロイトは「ノイローゼは性欲の抑圧が原因ですよ」と言い、
マズローは「セックスよりも面白いことを、
熱中できることをみつけなさい」と言ったわけW

なにかに熱中することで、至高体験→自己実現すれば
抑鬱症も治るはずだし。

だったら、セックスそのもので至高体験→自己実現はナシなのか?
といえば、そこをツッコミ入れたのがコリン・ウィルソン。

この『超越意識の探求』第3章「性の爆発」で以下の記述が。

性は「フロー体験」を生み出すもっとも効果的な方法のひとつだ。


(「フロー体験」は1970年代にミハイ・チクセントミハイが言ったことだけど
マズローの至高体験とイコールの解釈でOK)

性犯罪がある種の「フロー体験」になりえることを
ここで指摘しているコリン・ウィルソンは鋭いと思う。

マズローはそこのところをごっちゃにしていた。
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/02/blog-post_20.html

コリン・ウィルソンは「フロー体験」「至高体験」が
性犯罪ですらおこるってことを指摘して
「だからこそ危険」という見解を示している。

つまり、こういうことだ。

恋愛や性で自己実現を提唱する社会学者は
たしかにある意味では正しい。
「フロー」や「至高体験」がおこることもあるし、
それを自己実現につなげるならばアリかもね。

しかし、性と自己実現を直接的に繋げるなら、極端な話、
性犯罪でも「フロー体験」ということになってしまう。
その危険性をちゃんと書いている本書には意味あると思う。

宮台氏は性や恋愛をフィールドワークの土壌にして
それを社会学に結実させて自己実現した人なんだよな。
フィールドワークだけマネした青年の結末がどうなったのか
本人も自覚しているはずなのに・・・うーん。
http://blog.goo.ne.jp/get_amplifier_99/e/726685bba379c431aed8404b4cb37923

たぶん、人間は「閾値」が違っていて、宮台氏と青年の閾値が違ったんだな。
なのに、同じことをしてしまったがために、
自己実現と破壊行為に分かれてしまったのだ。
つまり、わりと繊細で感受性が高いタイプがオタクになるのに(つまり閾値が低い)
閾値が高くて図太い社会学者のやることを真似したら危険なのよ。

あと、「終わりなき日常」ってのも、宮台先生の
テンションなので・・・皆が皆同じ「終わりなき日常モード」ではない。
『超越意識の探求』ではレベル3が「終わりなき日常モード」
たぶん、アスリート的な人だと、全然違う意識で生きてる。
アスリートじゃなくても、違うテンションで生きている人いると思う。






















宮台先生の言いたいことは・・・おそらく
レベル3のテンションの中で生きている人が多いから
恋愛してレベル5,6を経験してみろよ的なことだろね。
その中で揉まれて社会性も獲得して自己実現してね・・・ってことかな。

でも、閾値は人それぞれだし、
自己実現の方法は無限大にあるんだから
「性経験推し」に限るのは偏っている感じがするんだよな~

とりあえず言えることは、本書がホームセンターの
ワゴンセールで売っていたことでも分かるように、
日本では「一発ドカンと至高体験で自己改革」ってのは、あまり人気がない。
注:ある種のセミナーとか、ごく一部では人気あるけど・・・

オーバーな自己啓発、一発ドカンと意識を変える
・・・ってギャグの範疇に入りがちだ。

↑この『鷹の爪』の回とは対照的に
「ポイントを貯めて世界征服」っていう回が
TV版にあるんだけど
そっちのほうが日本の感覚に合っていると思う。

日本では一発ドカンと変わる、よりは
ラーメンポエム的自己啓発のほうが相性良いのでは。
それこそコツコツ苦労して開花みたいなイメージ。
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/12/blog-post_7584.html

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