2013年2月25日月曜日

谷沢永一『嫉妬の正体』

ニーチェがルサンチマン(ルサンチマンはまぁ嫉妬と言い換えても良い)
を克服して超人になれと言いましたが
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/05/4.html

そんなもの克服できるんでしょうかね・・・?

一応、克服マニュアルみたいなものはある↓
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/10/blog-post_8.html

しかし、嫉妬をもっと積極的に考察できないもんなんですかね?
・・・と思ったら、これあったんですよ。
名古屋千種の正文館で2008年くらいに
出会った本がこちらです。




これ、学術書と一般書の中間地点くらいで読みやすい。

しかも対処法じゃなくて、根本的な解決法を提示している素晴らしい書です。

第1章 嫉妬の正体
第2章 嫉妬と私
第3章 嫉妬とアカデミズム
第4章 嫉妬と有名人
第5章 嫉妬と日本人
第6章 嫉妬と宗教
第7章 嫉妬の形態学
第8章 男の嫉妬・女の嫉妬
第9章 嫉妬の効用

・・・と目次をみても嫉妬だらけ。タブーとして避けられているからこそ
放置され、壊滅的な被害をもたらす嫉妬を正面から考察する良書です。

これ、1章ずつ面白い点を取り上げていきたいです。

第1章 嫉妬の正体

嫉妬の原型は以下
1)自分には何の関係もない
2)自分の目線が届く誰かの行動
3)その人の知恵・才覚によって利益を得ている
4)そいつの足を引っ張りたくなる

嫉妬は無限で、嫉妬と関係なさそうに生きている人もいれば
毎日が嫉妬で始まり、嫉妬で終わる人もいる。
しかし、嫉妬とまったくの無関係な人間はいない。
もし、自分が嫉妬と関係ない、と言い切れる人間がいたら
自分を聖人の高みに置いて、他を見下している傲慢な人間だとしています。

「姿かたち」「顔つき」「力量」「地位」「収入」「人気」「成績」「実績」
どんなことでも嫉妬の対象になるといいます。

かくいう私もスノボ行こうぜ的なノリに馴染めてる人を見ると
嫉妬するような気がします。
(こういうノリにまったくついていけない
・・・ってかスキー、スノボに行ったことない)

ちなみに、外見に関する嫉妬は、
似顔絵師になることでたぶん昇華できてると思う。
昇華できなくなったら、また似顔絵の修行に出たい。

なお、学歴に関する嫉妬は
「高校のときゲームばかりやってた自分」ってのを思い出して
自覚あるし、それで謙虚になるからそうそうないW
東大受験のエピソードとか聞くと素直にスゲー、と尊敬します。

第2章 嫉妬と私
これは面白かった。著者本人が「嫉妬された話」を大暴露W
著書を出した、TVに出た・・・ってのが嫉妬された
原因になったらしい。
さらにいうと、自分の父親にまで嫉妬されたエピソードが・・・。
しかも大学内で足引っ張られた経験まで大暴露しとるW
著者は、評論などで名を売って、ようやく暴露できるだけの
機会を得たんだろうな。なんかもう執念みたいなのを感じるぜ。
帝国の逆襲的な。

第3章 嫉妬とアカデミズム
ある大学助教授が雑誌に文を載せただけで
干されたエピソードを紹介。
他にも、矢代という美術史学者が海外で評価され
国内で干されたエピソードを紹介。
学者の世界の嫉妬が尋常でないことを繰り返し書いています。
これ、たぶん勉強一筋の秀才タイプは
やりがちな気がする・・・。

第4章 嫉妬と有名人
ここで、夏目漱石を出したのが面白いと思う。
漱石って嫉妬されてもおかしくないポジションなのに
悪口言われたことないんだよな・・・

漱石の行動が嫉妬回避のヒントになるとして
挙げられています。

帝大教授ける→新聞記者→文学博士号ける→結果、国民の共感を得る

あらゆる名誉を自分から遠ざけて
人気を得た漱石。

ここで漱石の歌が出てきます。

すみれ程な 小さき人に 生まれたし

いやー、でも最終的に漱石さんが
札に印刷されてることを考えると・・・
謙虚さで勝つっていうのもアリな気がしてきたWW

第5章 嫉妬の日本史
明治維新の大久保利通の嫉妬の醜さが凄い!
西郷と大久保は近所の生まれで
大久保は西郷の家にしょっちゅうごはんを食べに行く仲であった。
でも西郷にものすごい人気があったため
嫉妬し、偽のスパイを送り込み、決起に追い込んだそうだ。
大久保利通マジで嫌いになった・・・。

第6章 嫉妬と宗教
じゃあ、宗教なら嫉妬から遠ざかっているかといえば、逆。

信長・秀吉・家康の3者がいかに本願寺と関わってきたかを考察しよう。

信長:本願寺をつぶそうとする
秀吉:大きな寺を寄進して抱きかかえようとした
家康:分割統治(西本願寺と東本願寺)にして両者をいがみあわせた。

家康が嫉妬を活用している猛者。

しかし、嫉妬心の強い人間が本当に怖いのは
「身を捨ててかかってくる人間」なのだそうだ。
これ、カイジのカードゲーム↓見ると良くわかる。

皇帝よりも強いのは身を捨ててくる人間なんだな。
 
「俺が一番」だと思っている人間は反乱を起こさない。
嫉妬心に凝り固まった人間が組織のトップにいることで
秩序が守られるというわけです。
 
逆に言えば、「何もないカイジ」が勝てることになるんだけど。
 
第7章 嫉妬の形態学
女優ジャンヌ・モローも嫉妬するって話W
 
ジャンヌ・モローも嫉妬するんなら、しょうがないっす。
人間は嫉妬を克服できませんね。
 
第8章 男の嫉妬・女の嫉妬
だんだんディープなところへと移動してまいりました・・・。

つまりこういうこと。 能力に関しても外見に関しても、
成長するうちに100%挫折する。 これは確実。
上には上がいるのだ。 努力でカバーできるもんではない。
アレがない、コレがない、と気づいていくのが人生。
これはその通りである。

注)これに抵抗すると、自分が一番になれる場を求めて さまよう
ゾンビとなり サークルクラッシュを引き起こす。 http://riekonaito.blogspot.jp/2013/02/blog-post_19.html

・・・が、そこそこで諦めるのが一般的な人生。
それでも、せんじ詰めても最後まで残存するのが
「セックス」に関する嫉妬なんだそうだ・・・。

他の男女は凄いことをしてるんじゃなかろうかっていう下世話な嫉妬。
これが残るんだそうだ。

たぶん「リア充爆発しろ」の原点はこれなんじゃないかなぁ・・・。
これまで再三、「セックスよりも面白いことを見つけろメッセージ」 を
ブログに書いてきましたが、 人間に嫉妬があり、
嫉妬の根底に男女の性にまつわる嫉妬が ある限り、無理なのかもしれんねー

本書のP234には

1)人間の嫉妬には男女の関係に由来するものが多い
2)セックスに関する嫉妬は 強迫観念や
想像力などの作用によって肥大化、解消しがたくなる

・・・とある。

<私のコメント>
これがルサンチマンの根源だとしたら、
戦前の日本が「フンドシ祝い」で皆に
平等にセックスできる 権利を与えていたのは正解だと思う。(以下のリンク参照) http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_30.html

「リア充爆発しろ」というルサンチマンがそこかしこで 派生しているんだったら、
最初から「経験できる権利」のカードを配っておいて
「こういうものですよ」「あとは真面目に働いてね」 ってのは正解だったんかな。
「経験しないことによる妄想の肥大化」 がサークラ的現象を引き起こすんだったら、
サークラは日本の性の倫理教育の「おまけ」みたいなもんじゃなかろうか。

たぶん、夜這いがあった頃にもモテ・非モテの ルサンチマンは
あったに違いないが 「まったくカードが配られない」ということはなかったはずなんだなー

第9章 嫉妬の効用
しかし、日本はこの「嫉妬」を活用してきたという側面もある。
・・・というのがこの本のまとめだな。 詳しくは本書を読んでください。
ちなみに、一番の「嫉妬回避策」として 漢学者・木下順庵の「譲り」エピソードがあります。
弟子に地位を譲り、謙虚ゆえに成功した学者の話。
嫉妬を回避し、また自分が嫉妬することも回避するには 「謙虚」
これが大切なようだ。

**おまけ***
ちなみに、個人的な意見ですが嫉妬の克服には
ペットを飼うことを勧めます。
独占欲も充たせるし。
でも、まぁトップブリーダー目指し始めると
違う嫉妬心が出始めると思うんですが・・・。

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