2013年3月19日火曜日

図解マンガの限界を超えた『ぼおるぺん古事記』(平凡社)

ことの発端はオカッパであった。

わたくし・・・オカッパ部の顧問としての活動



・・・をさせていただいておりますが、オカッパといえば

平家のカムロについて思い出したので、
オカッパ部・部長のレトロさんに業務連絡をしたところ・・・・
カムロ=オカッパの元ネタの話になりましたW

そういえば。カムロを知ったのは
「歴史マンガ」なんだよな~

本棚から久しぶりに出してきました↓

このコマが脳内イメージに残存していたのだ。

ちなみにこの巻です。

しかし、歴史マンガ鵜呑みは
危険だなぁ~と思うのが・・・
たとえば中宮彰子の描写

まるで少女マンガなんだよなぁ。

いやー、メイクとかもこの本が発刊された
1982年発売のもので
リアル平安時代のメイクに
もう少し近づけなかったのか・・・と思うんですが
リアルなメイクを知りたければ
こちらを読んだ方がいい・・・

この本のP126の描写

白粉で顔の表情をすっかり覆い、
眉毛も剃ったり抜いたりして、
本来の位置とはまったくずれた額に眉を描き、
唇も白粉で隠した上からほんの小さく
紅を引き、お歯黒をしました。
顔の中でも最も表情豊かな部分を覆い隠し
肌さえも、真っ白くして表情を消してしまう。
表情を見せてはいけない高貴な人のために考案された化粧でした。

・・・・・・うーん。

高貴な人は表情を読まれてはいけない=
化粧でわけわからなくする
という意味があったのか。

となると、歴史まんがの中宮彰子の
イキイキした少女漫画ヒロイン顔は
歴史とズレていることになる。

カムロの造形も、鵜呑みにしていいのかは
また別問題で・・・平家物語に出てくるカムロを絵に
起こしたんだと思うけど、
平家物語に登場=実在した
と解釈していいのかどうかはわからん・・・。

しかし、細かなニュアンスを伝えるのに
歴史マンガは便利だな、という面も多い!たとえば
この近代国家の発展の巻。




石川啄木タンのキャラを4コマで
ほんのり伝えている凄いページ。

なかなか文章にしにくいネタを
マンガだと伝えられることもあるし、
それで記憶に残ることもある。
というか、自分は小学校の時に読んだ
歴史マンガのネタで
だいたい中・高を乗り切ったW

このように、利点もあれば??もある歴史マンガ。

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その可能性と限界について言及したのが

この本のP182~

・・・・・・・・・の「図解マンガの可能性と限界」という章。
呉先生が歴史マンガの存在意義について整理している。

1)勉強マンガは戦前に秋玲二が描いていた

2)1986年の石ノ森章太郎『マンガ日本経済入門』も
ミリオンセラーになったし、勉強とマンガの相性は悪くはない。

3)ただ、先述の秋玲二が1970年代初めにだした勉強マンガ
がマズいと呉先生が指摘。江戸時代の描写について
アバウトな部分があると具体的に指摘しているのだ。

4)んで、話は飛ぶが2009年の「週刊マンガ日本史」
(朝日新聞出版)の話になる。

5)ここで、呉先生の指摘が面白いところに・・・
「週刊マンガ日本史」の卑弥呼の
「わき毛がない」ことを指摘しているのだ。

日本の女性がわき毛を剃るようになったのは
この半世紀のことなのだそうだ。
(黒木香女史はある意味正しかったのだ)

6)あと、卑弥呼が正座してるのも
時代背景を考えるとおかしいそうです。

・・・・というわけで、
歴史マンガは「きっかけ」としてはOKなんだけど
本気で歴史に入れ込むにはちょっと問題もあるのだ。
監修している先生が歴史学者でも
作画担当の絵柄や思い込みで
ズレてしまう場合があるので。

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さて、ここでやっと本題です。

呉先生は2009年までの歴史マンガについて考察し
その限界を危惧していたが・・・

2012年に、歴史マンガに新たな切り口のものが出現したのです。

この本、コロンブスの卵的な発想でできている!
こうの史代『ぼおるぺん古事記』です。

これ、古事記の原文×絵になっている!!

原文でマンガ化ってやりそうでないというか
これ、本気で本気にならないとやれない行為だよなぁ・・・。

原文の一文字一文字を大切にボールペンで絵に起こす。

普通、思いついても気が遠くなってやんない。

そこをあえてやった凄い人。

鷹の爪では、ヤマタノオロチ・・・サイトーくんがめんどくさくなって
かなりテキトーな造形になってましたね↓(これはこれで面白いんだけど)


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鷹の爪でも、こうの史代も
「ここが偉い!」と思うのが・・・

「最初っからシリアスなリアル風を狙わない」ところです。

鷹の爪はもともとそういう芸風なんだけけどW

中途半端にリアルでシリアスな歴史マンガにするより
「歴史マンガを事実に忠実に再現するのは無理なことなんですよ」と
メタメッセージ入れておくほうが真摯なんだ。

以前、ソフィアコッポラがスニーカーで
メタメッセージを入れておいたように、
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/11/10302560.html

歴史を映像・画像にするときは
「って、これ、忠実じゃないと思うんですけど、てへぺろ」
みたいなメッセージがないと、
「お前はその時代に生きていたのか?見たのかよ!」
ということになって、
むしろ誠実じゃない感じがするのだ。

『ぼおるぺん古事記』はそこらへんをよく
加味してあって・・・

以前ここで解説した「オモヒカネノ神」
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post.html
が「ガリ勉・カリアゲくん」キャラになっているのだ!!

西洋の魔女みたいなのもW
たまにTV画面とかも入れてあったりして、
あきらかに「ふざけている」コマがある。

でも、ふざけている部分を表出しているからこそ、誠実なんだな。

つまり、原文を丁寧に扱おうとすればするほど
100%完璧な歴史や神話の再現は無理と悟ることになる。

だからこそ、それは無理なんだとメタメッセージを入れつつ
最大限の努力を惜しまない。
これが『ぼおるぺん古事記』の凄味なのだ。

☆今回の結論☆
2009年の「週刊マンガ日本史」批評で
呉先生が歴史マンガの
限界と可能性を示したが・・・

2012年の『ぼおるぺん古事記』によって
新しい可能性が開かれたと言ってもいいと思う。
(古事記は歴史というより神話なのだが、
歴史マンガにも原文×絵という
手法を応用していったら
新しい可能性が見えてくると思う)

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