2013年3月24日日曜日

北山耕平『ネイティブ・マインド』

昨日ここでネイティブアメリカンの
本を紹介するという告知をしました。
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/03/blog-post_23.html

この本です。


村上春樹の冒険譚より面白いと思う。

村上春樹の物語の場合、
文化的雪かき仕事→なにかのきっかけで旅に
さまざまな出会い→スピリチュアルな感じの出来事→帰還

・・・って流れの小説が多いんだけど。

この本の場合、ノンフィクションで
まさに、この流れになっているし
読者はこの著者の不思議な旅を追体験できるのだ。

村上春樹を読む前に、
まずこの北山さんの「リアル巡礼の旅」を
読むべきだと思う。

北山氏の旅が面白いのは、
わざわざ学術的な調査をしにいったわけでもないのに「自然に」
そのような流れになり、この本を書いたことだ。

彼はデスバレーに行き、偶然にネイティブアメリカンの
「ヴィジョンクエスト」のような経験をした。

それが気になって調べているうちに
ネイティブアメリカンのことが気になった北山氏。
 
んで、著者がいろいろ調べているうちに
「アメリカ原人」の頭蓋骨が「日本原人」のものと似ている
という事実に辿り着いたらしい。

サン・ディエゴの近くで1929年に発見された
約48000年から5万年前の頭蓋骨が「日本」のものと似ている。

ネイティブアメリカンと日本の意外な繋がりを発見した著者は、
その後、不思議な縁で
ネイティブアメリカンとして生きている
ホンモノのネイティブアメリカンと会うんだな~

その流れはこうだ。

日食を見に行く→
途中でカフェに寄り店員に
「あんたもローリングサンダーにあいに来たの?」と
尋ねられる(しかも否定的なニュアンスで)
→そんなつもりじゃなかったけど、
ローリングサンダー(ネイティブアメリカンのカリスマ的存在)の名を
知っていたので、偶然会いに行く流れに
→会う
・・・ということになったそうだ。
会ったときの様子は、本書でぜひ読まれればよいかと・・・

本書は、文化人類学者の視点ではなく
一人の迷える現代人の視点で書かれてる点が良いと思う。


学者の「ネイティブな人たちにはこんな文化があります」という視点じゃなくて
畏敬の念を持って取材をしている。


ローリングサンダーが「知識」について語ったときの言葉が印象深い。

 知識というのはまさしく聖なる時に、
その人が物事の隠された意味を見つけることで、
自分のものにすることができる。

んで、「物語」についても、
ネイティブな人は全然違う感覚を持っている。

 村上春樹が「物語の力」をさかんに強調しているが(以下リンク参照) http://riekonaito.blogspot.jp/2013/03/590.html 

メディスンピープルと呼ばれるカリスマ指導者のような人は
シャーマンやら病気を治す人のほかに
  「物語を語るもの」 と呼ばれる人がいるのだ。 

たぶん、村上春樹が「物語」「物語」言っているのは
 ストーリーテラーの力のことだと思う。
『海辺のカフカ』があれだけ、ネイティブアメリカンの儀礼を
なぞっているのだから、村上春樹のお話の根底には
ネイティブアアメリカンの思想が根底にあると思う。 

しかし、ネイティブアメリカンのその思想ってのは
文字文化で継承されるものじゃなくて、
「これだ」っていう人に再生されて 物語が語られるたびに蘇るものらしい。

 ストーリーテラーがどんな存在なのか?は
レスリー・M・シルコという 詩人の詩が的確に表現している・・・ 
かなり端折るので、気になる人は本書を読めばいいかと。

 考える女 それは蜘蛛 ものに名前を与え
そして 彼女が名前を告げると たちまちそれが現れた
彼女は部屋のなかに一人腰をおろして
いまある物語のことを考えている 私がこれから話すことを
彼女はいま考えている

ネイティブの人たちは、書き言葉<<<話言葉
いう感覚を大切にした。

 そして、物語の中にその魂が再生されるとした。 
また村上春樹の話に戻るけど、 村上春樹は自身がストーリーテラーになって
 資本主義社会、白人的な価値観に 対抗したいんじゃないかな?と思う。

 白人的な価値観ってのは 鷹の爪でいうところの「デラックスファイター」的なものね。 http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_4.html

そして、村上春樹は 「道」を外れた人の姿も書いてる。
 以前、村上春樹の作品について 「ダメになった女性の姿」を書くのが巧い、 http://riekonaito.blogspot.jp/2012/09/blog-post_3173.html と書いたが
・・・・・・ これ、なんで「ダメになった女性」を書くのかといえば
「コレジャナイ」という否定的な視点から
 つまり、道を外した人のことを書くことによって
逆説的に「人はどうあるべきか」書いているんだと思う。 

村上春樹って、もともと、野球観戦しているときに 天啓が来て、
小説を書いて小説家になった人なんだよね。
彼自身、シャーマンとかストーリーテラーとか
そっち系の資質がある人なんじゃないか?と思う。 

そういえば、『ネイティブ・マインド』を読むと
以下の2つのような面白いことが書いてある↓

1)日本人にとって、ネイティブアメリカンって遠い存在のように思えるけど、 
おもしろいことに、ネイティブアメリカン側には 
日本人のことを「白人といちばんビジネスのうまいネイティブ」 と
見なしている人がいるみたい。(しかもかなりいる) 

2)実は古事記の黄泉の国の話とそっくりな 
ネイティブアメリカンの伝説(チェロキー族)もある。
以前、古事記とイ族のお話の類似性については指摘したけど http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_4.html 
ネイティブアメリカンとの類似性は目からウロコだった。 
つまり、北山さんは、遠い存在だと思っていた
ネイティブアメリカンを調べていたら
自分のルーツについて考えるようになった・・・ってわけ。

しかし、と、なると・・・ 今度は日本列島に住んでいる人って
いったいどんなメンツなんだ?? ということになると思います。
というわけで、この次は、
民俗学の巨人と呼ばれ、
日本列島を徹底的に調査したという
宮本常一の本を読みたいと思います。
だから、次回はこの本を紹介します。

 

☆おまけ☆
『ネイティブマインド』に出てくる
ヤキ族のドン・ファンという呪術師の詩が
良かったので引用しておきます。

わしにとっては心のある道を旅することだけしかない、
どんな道にせよ心のある道をだ。
そこをわしは旅する、
そしてその端までたどりつくのが唯一価値のあることなのだ。
その道を目をみはって、目をみはって、息もせずに旅して行くのだ。

☆おまけ その2☆

ネイティブアメリカンの多くが以下のことを言うらしい。

「人間の魂が、こうしたたくさんの不思議と、どこかで繋がっている」

心-世界のシンクロ二シティについて
少し理解が深まった気がするなぁ。
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/02/blog-post_23.html

ユングは旅でネイティブアメリカンと会っているんだよね↓
http://plaza.rakuten.co.jp/poetarin/005150/

ネイティブアメリカンの思想・・・物語や声の中でしか
表現できない思想を
論理的な文章に起こして
著作として残していこうとした
ユングってやっぱすごいかもしれない。とおもった。

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