2013年5月6日月曜日

後藤明夫『Jラップ以前』+SEGA・ソニーの1996年作品+DAGANE

日本のヒップホップカルチャー。
(ラップ、DJ、ブレイクダンス、グラフティアートなど)

アメリカの黒人の間に生まれたものが
日本でどのように広まったか?
・・・っていうのは、以前に「ラーメン」と「市原隼人」と
絡めて書いた。
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/01/blog-post_5.html

でも、ヒップホップと日本が最初に出会った頃の
ファーストインパクトのことは
レアすぎて誰も研究していないんじゃないか?

と思ったら、そこらへんの出来事を詳細に調査し
記録した稀有な書を見つけました。

AMAZONへ↓
Jラップ以前―ヒップホップ・カルチャーはこうして生まれた

この本、ほんとに熱いんだな。

70年代に「いとうせいこう」がヒップホップと出会い、
日本に広める様子、日本でヒップホップをやっていくうちに
独自の進化を遂げる様子・・・


いとうせいこうが学生時代に出会い、物まねをしていた
グループはこれだ

(スマホだと動画観れない場合あるのでPCで観てね)
 
このひとたちはNYラップの先駆者。
 
で、日本では82年~84年にかけて「ピテカントロプス」
というクラブで独自の日本のラップができていったらしい。
 
そのころに、日本でヒップホップに目覚めた人が見ていたのが
映画『ワイルド・スタイル』
 
このヒップホップ幕の内弁当
みたいな映画を教科書にして、日本で試行錯誤する人たちが出てきたみたい。
 
しかし、ここで問題が出てくる。
 
ラップは黒人の「アメリカで疎外されている感」をスラング感満載で
表現していたが、日本人は何をどうすれば?
 
そこで、いとうせいこうが作り出したのが
『業界こんなもんだラップ』です。(85年にレコードに収録)
 
これが日本オリジナルラップの原型になった曲みたいです。
 
しかし、これはクオリティ高い。
いきなり日本のヒップホップのハードルを上げてないか?!
 
えーと、本書『Jラップ以前』にはここらへんの曲が出来たあたりに
いとうせいこう周囲にいた人のインタビューが「いい仕事してますね」的に
集めてあり、非常に貴重な資料になってると思います。
 
========================
 
ここらへんは本書をお読みいただければいいとして・・・
 
<<以下は私の私見>>
 
黒人が疎外感を表現に転換する
ツールとしてあったヒップホップですが・・・
 
日本では「業界人の内輪ネタ」から始まっていると思うと
凄く面白いです。当時、「マスコミ」っていうのは
「就職楽勝」な時代でも「入りにくい」という憧れのポジションでした。
 
映画『就職戦線異状なし』では、「一般企業内定はあたりまえ」だから
マスコミに就職できるかどうかを賭けようという
ギャンブルの様子が描かれていました。
 
つまり、「勝ち組」だったわけ。
その勝ち組(いとうせいこうは講談社にいた)
が「憧れの業界、蓋を開ければこのようなものです」という
暴露ネタをラップに乗せたのは大正解だった気がする。
 
早稲田→講談社というエリートコースにいる人が
アメリカのヒップホップの精神性を継いでも
嘘っぽくなるだけなので、
業界ネタをラップにしたほうが面白い。
 
文化って海を渡ると「それの持つ意味」が180度回転することがある。
 
前回のブログ記事「キティ」もそう。
 
日本だと、ヤンキーの足元の健康サンダルキティというイメージが
海外だと「オトナのセレブな女性の遊び心」
「反体制=ゲイアイコン=キティ」となる。
 
そこで、海外にあった「ヒップホップ」(黒人の疎外感の表現)が
日本で「マスコミ勝ち組の内輪ネタ暴露」に転換されるのは
面白いと思う。
 
海外の文化に最初に触れることのできる層ってのは、
たいていどこの国でも「上の層」だと思う。
海外ものに触れてその面白さを理解するには文化資本が必要だし
留学もそう。上から入る。
キティちゃんに触れた海外勢のパイオニアがセレブなのも頷ける。
 
でも、上から入ってきたものは、形を変化させながら
一般に広がっていくのが常。
 
日本のヒップホップカルチャーはどこ経由で広まったか?といえば
私は「TVゲーム」だと思う。
 
というか、「常に前のめりでやっていることが理解されない
けど後から凄かったことがわかる企業 SEGA」が・・・・・・
 
SEGAの前のめり人生:http://riekonaito.blogspot.jp/2012/10/blog-post_27.html
 
この日本のヒップホップカルチャーを
ゲームに取り入れたと思う。
 
 
ラストブロンクス↓
 
 
このラストブロンクス、サントラを聴いたことあるけど
日本語ラップの曲が入ってたと思う。
 
当時、「うわ、SEGAなんか新しいことやっているなぁ」と
思った記憶がある。
 
ラストブロンクスの初出が96年だから、日本のヒップホップの
一般化はこのあたりと思っていいのでは・・・
 
というか、96年はなんといっても、「パラッパラッパー」の初出の年。
 
これは衝撃でしたし、やりこみました。
 
パラッパの帽子まで持っていた。



ラップ=言葉のゲームの要素を
本当にゲームにした凄いゲームでした。
 
 
 
この頃のソニーは本当に面白いものを作ろうとしていた。
デザインもおしゃれだし、曲も良いし、
ゲームのシステムもシンプルで面白かった。
ライトユーザー層にも楽しめるものだった。
 
が、しかし、横からコナミが「音ゲー」コンテンツを
アキバ寄りで独占してしまったため、
この面白い試みは、「コナミの音ゲー」という
コアなゲーマーのタコツボ的コンテンツに
収れんするのであった。
 
しかし、コナミが偉いのは、
ここ数年、音ゲーを全身でのダンスゲーにつなげて
クラブの文化とアキバの文化の壁を無くしたこと。
 
いや、クラバー寄りの学生さんからは
「最近アキバ系がクラブに来ていますが、あの現象はなんでしょうか?」という
質問が来たので・・・全然壁壊れてないんだけど
同じ場に共生するようになっただけ凄いことだと思われる。
 
出版社にいたインテリ層の耳に届き、日本独自のヒップホップを
模索したのが80年代。
 
テレビゲームのコンテンツに取り入れられて
一般化したのが90年代なのでは?
 
ゼロ年代になるとエミネムがヒップホップにおける白人⇔黒人の
壁を壊したのでは・・・それでエミネムの映画の曲、
アカデミー賞まで獲った。
それが日本に入ってくると
もはやTVゲームとか日本オリジナルラップに加工しなくても
一般化されたヒップホップを素のまま楽しめるように。
 
かつて、アメリカ→東京→MC小宮→EAST END×YURI→名古屋と
ヒップホップが流れていくうちに、独自の進化を遂げた
『DA・GA・NE』という曲があったことなんぞ、たぶん、だれも覚えてない。
 
1995年におこった「日本各地、ラップで町おこし」という事変はこちら↓
 
 
追記:日本のラップとゲームのつなぎ目が分からなかったものの
進撃のくまこさんからスチャダラパーのゲームボーイズという曲を
教えてもらい、繋がりました。
 
たぶん、いとうせいこう→スチャダラパーのゲームボーイズ→ラップのゲーム
・・・につながる。(以下の動画、スマホで見れない方はPCで観てね)
 

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