2013年11月24日日曜日

竹内整一『「はかなさ」と日本人-無常の日本精神史』×真・女神転生Ⅳ

前回のエントリ

にいろいろなご意見をいただき、
本当にありがとうございました。

にしても、村上春樹になぜ、あんなにハマッたのか?
いまなら冷静に考えることが
できそうです。

そして、本棚に鎮座まします
春樹コーナーはどうすれば・・・!

これまで大切だったものが醒めてしまえば黒歴史。
でも、やっぱり好きだったものは
ムゲにはできないこの感覚。


この蔵書の中でも、一番好きだったのは

『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』だったわけですが・・・

なんでこんなに好きになったかと言えば、

アニメ・ゲームの世界観に似ていて(セカイ系の範疇に入ると思う)
読みやすいうえに、「自分はいま文学を読んでいるんだもんね」
的な中二病ニーズを充たすことができたからかと思います。

メガテン&エヴァ(中二病)→春樹センセの『世界の終り~』(中二病こじらせ成人)

は自然な流れだった気がする。

そもそも、春樹センセの『世界の終り~』はアニメ灰羽連盟に
引用されたし。

(以下の動画スマホで表示されない場合はPCで)


エヴァと『世界の終り~』そして
現在進行形でもハマっている『真・女神転生Ⅳ』
に共通するものといえば何か?といえば

「世界は終わる」ということなのであります。

真女神転生シリーズやったことがある人にとっては
「世界の終わり」は予測可能回避不可能タグなわけで・・・・

むしろ世界が終わらないメガテンは無い!
くらいの勢いで伝統芸と化している。

最新作の『真・女神転生Ⅳ』に関して言えば
既にオワッている東京をさらに砂漠化。

これは鳥肌ものだった。

































うーん、霞ヶ関も渋谷も、鳥取砂丘に見える!!

日本のアニメ・ゲームの世界観&
村上春樹が『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』に取り入れて
私みたいなサブカル層を読者にした
「世界の終わり」の観念って、モトネタは何か??

ということを探るべくこの本を読んでみました。




この本のP10~

1)ナウシカ、AKIRA、ドラゴンヘッド、世界の終りとハードボイルドワンダーランド
・・・・・・・・・・・・これらに織り込み済みなのが「世界は終わるということ」

2)あたらしい世紀に入っても、世紀末気分は抜けてなかった。

(私のコメント:世紀末が売りの真メガテンシリーズは
新しい世紀に入ったらどうするんだろ?と思ったら
世紀末の空気からさらに新世紀の世紀末空気に進化させていたので
「アトラスやっぱ凄い」と思った)

3)このような気分をどう解釈するかは、いろいろなアプローチがある

4)このニヒリズム状況はニーチェが言いだした
http://riekonaito.blogspot.jp/2012/05/4.html

5)ニーチェはメジャーなので、それはさておき、
この思想を日本の側から
見ていこうという新鮮な試みがこの本

6)ニーチェと同じ頃、日本の思想状況にも
「それとは違う文脈ながら、自分と自分の生きているこの世界が
うまく説明できない」という、煩悶状況なる精神の危機状況があった。

7)たとえば太宰治。

8)そしてこの著者が現代のニヒリズム的なものとして挙げているのは
『村上春樹の1973年のピンボール』の主人公のセリフ。

「無から生じたものがもとの場所に戻った。それだけのことさ」

(私のコメント:消費と恋愛とニューエイジと文学を絡めたカルボナーラのような
村上春樹ブームも、もとの場所に戻った。それだけのことなのか・・・)

ニューエイジhttp://kotobank.jp/word/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%A8%E3%82%A4%E3%82%B8

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この無常感を日本の文化からアプローチしてみようという試みのこの本は

P23あたりから本格的に日本の「はかなさ」を探りはじめます。

いろいろな歌人のウタなどを挙げてから

代表格として以下のいろは歌を挙げます。

色は匂へど散りぬるを わが世誰ぞ常ならむ
有為の奥山今日こえて 浅き夢みじ酔いもせず

でも、このウタ、「どこへ行くんだ?」という疑問が出てくるんですが
それに対しこの本では、「涅槃経のあの世」という
答えをだしています。

P35~
1)このウタができたとき、当時ひろまりつつあった
浄土教の説く極楽浄土のイメージが重ね合されていた

2)このウタがつくられた10世紀後半には
すでに浄土教が広まっており、世も末、つまり末法思想があった。
(コメント:たぶん、もしこの頃に
ゲームがあったら、メガテン流行ってたに違いない)

3)この浄土教が広まる上で、定着していくにあたって大きな影響力となったのが
源信の『往生要集』であった。

===そして、西行が出てくるのがP91~

花に染む心のいかで残りけむ捨て果てヽきと思ふ我身に(西行)

このウタの解釈としては
多情多恨の中にのめり込むことによって
それを内から突き抜けるという意。
西行の補足:http://riekonaito.blogspot.jp/2013/07/14.html

ほとけには桜の花をたてまつれ我が世を人とぶらはば(西行)



コメント:西行のウタは「いろは歌」を比較するとその画期的な世界観がわかるってことですな。

いろは歌は「この世界を超えてどっか行くぜ」的な中二っぽい世界観だけど
西行はもっとオトナで
「花はきれいですね、私はその花に埋もれていてこそ、次の世界へ内から突き抜けて
いけると思うんですよ、僕が死んでも、花を手向けてくださいね、ははは」

・・・・・・・・的な、なんか井上陽水が言いそうな世界観を提示したということだな。

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以下、感想。

この本、夢の外へ、夢の中へ、そして
『徒然草』の夢と現実の間を肯定する姿勢を示して
なんかきれいにまとまっているので
おおお、読んでよかったという気になる。

が、そもそも前置きに置かれた伏線が回収されていないような気が。

まえがきでサブカル作品を羅列しておいて
「若年層の読者を取り込もう」というのはわかる。

・・・・・・・・・わかるんだけど・・・

最初、アニメ・ゲームの「世紀末気分」の話から始まって
それのモトネタをさぐるべく、日本のウタや文学を解釈していく本かと思いきや
だんだん「夢」という主題にスライドしてしまい、
「夢の外へ」「夢の中へ」「夢と現実の境目」の話になり、
そもそも最初の前振りはどこへいったんだ?と思う。

現代サブカル作品→日本の思想の流れ→サブカルにどう反映されているか?

という流れかと思いきや、

サブカルでつかみはOK→日本の思想史(完)

だと、ちょっと釈然としないものが。

ただ、この本を読んでみて、思ったのは、
ただいまプレイ中の『真・女神転生Ⅳ』の世界観が
パッと見よりも深いものを表現しているなぁ、っていうことだ。

(以下の動画スマホで表示されない場合はPCで)
この本に登場するような ありとあらゆる「無常感」を
疑似体験できるのが 『真・女神転生Ⅳ』だと思う。

中世のキリスト教的世界観から始まり、
「書物」が出現して世界が変わる。

そして、いきなり現代社会の無常観へ飛ぶ。






そして、それすらも崩れて砂漠化、
砂漠の中にも宗教的な営みが生まれたり、
砂漠化した世界だからこそ人の欲望を肯定して
社会を再建しようとする
指導者が出てくる。

 ゲームシステムがライトユーザー向けだとか、
 ボスキャラを外部発注にしたことに関することに引っ掛かってて
このゲームを楽しめない人は非常にもったいない。

 『真・女神転生Ⅳ』は西洋・東洋思想を超えた
 メガテンの世界観がより懐の深いものとなり
 よりいっそうバランスのとれたものとなった結実だと思う。

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