2014年3月10日月曜日

『一個人 保存版特集 仏陀の言葉』×『歎異抄』(角川ソフィア文庫)と冷やし中華

昨日、この本を取り上げたのですが…

http://riekonaito.blogspot.jp/2014/03/blog-post_9.html

この本だけだと
ちょっと偏ってしまうかもしれないので
(モトジィがアマゾンのレビューの件を指摘していたように)

中庸を保つために
違った解釈も取り上げてみたいと思います。

雑誌『一個人』の中の記事なのですが
釈徹宗氏が署名入りで書かれた文章なので
良記事だと思います。



この号の「お経とは何か」という記事です。

1)仏陀滅後、教えは「合誦」によって確認された
2)それぞれ、担当者ができた。

教えの部分担当(経):アーナンダ
規則や生活担当(律):ウパーリ

3)というわけで基本、口承だったが
ある時点から文字で書き記されることに…
(ということは初期の仏典もすでに口伝)

4)というわけで、パーリ語で書かれた
原始教典(阿含経など)が釈迦の教えに近いんだけど
その後大きなムーブメントがくるのが
大乗仏教が起こってから…というのが重要で、
これをどう解釈するかで
「偽経」の評価がわかれてくると思う。

昨日の藤本先生は「偽経」を評価しない姿勢を貫いている。

今日ご紹介した記事の執筆者・釈徹宗先生は
むしろ「独自の仏典群をクリエイト」
「成熟・深化」「壮大な宗教文学」としている。

釈先生が大乗教典をどう読んでいるかは以下

*大乗教典には「社会生活」「慈悲」「平等」といった
テーマが盛り込まれているとのこと
*大乗教典である般若経典で表現されている「空」の思想を
「人類の思想における到達点」と評価

補足)空について…こちらのリンクへ
http://riekonaito.blogspot.jp/2013/08/blog-post_16.html

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大乗仏教の流れをざっくり分けると…

大乗仏教
初期:「空」が説かれはじめる
中期:「空」に対して「唯識」の体系ができていく
後期:ヒンズーの影響もあって密教の根本ができていく

補足)ヒンズー教について…こちらのリンクへ
http://riekonaito.blogspot.jp/2014/01/dle.html

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つまり、いまの日本仏教の状況としては

「お釈迦様の言葉だけを信じて、のちの創作を評価しない」

「のちの創作を評価し、成熟の過程と見る」

の二手に分かれているっていうことなのかな。

じゃあ、自分はどう思うかといえば…
これから教典を読んで考えようと思います。

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追伸:松島どのから浄土宗と浄土真宗の違いについて
聞かれましたが…

これに関してはこの本をおすすめします。

親鸞が法然のことをいかに慕っていたのかわかります。


しかし、朝廷のゆるしを得ないで
新しいスタイルの仏教をはじめたということで
その後に法然は香川県あたりに
親鸞は新潟あたりに流されることになり
親鸞は親鸞で人生を歩んで行くうちに
独自の道ができていくわけで…

親鸞は基本は法然の弟子だけど、
親鸞は親鸞で妻帯したり信者を獲得していくうちに
独自のスタイルとして
分派した…という解釈でいいのかなぁ。

しかし、端から見ていると分派しているように見えるけど
親鸞本人からすれば忠実に師匠・法然の教えを
守っている心持ちのようですので
親鸞本人からしたら分派した覚えはない
ということになることになるかと。

ちなみに、親鸞の教えはここに凝縮されております。


この本のP14に

「たとひ、法然聖人にすかされまひらせて、
念仏して地獄におちたりとも、
さらに後悔すべからずさふらう。」

というわけで、師匠を信じて
地獄に落ちたって後悔しない
宣言をしている親鸞でした。
(弟子は異を唱えていたみたいですが…)

この歎異抄を読んでいると、
親鸞の弟子の中から
「俺だけが特別な教えを親鸞から教わったぜイエイ」みたいな
事態が発生して、もめ事が起こったりしています。
(実際には弟子の勘違い)

要するに、カリスマがある人がいて、
その人が集団を形成するとその中で力関係が生まれて
教えが「中心的な人物」の言葉なのか
「その弟子たち」の中から生まれた言葉なのか
厳密には区別できないっていう事態が発生するのが世の常で
あるということは確かなんじゃないでしょうか…

大乗仏典の成立にも仏陀の弟子の
数限りない人間ドラマが隠されているわけで…
それら人間ドラマが織りなすものを
全部ひっくるめて「文学」や「発展」と見るか
原点だけを見て、忠実に仏陀の弟子であろうとするか
それもまた自由なんじゃないかなぁ。

いや、そもそも初期の教典で
「無常」が既に説かれているんだから
国や時代によって教典や教義が変化していっても
大局的に見れば全部OKなんじゃないかって気もして参りました。

仏陀の言葉でなくても、時代や社会にあわせた
仏陀の心がそこに活かされているのならば
それでいいのではないか…とも思うのであります。

冷やされた「冷やし中華」という結果だけを見るんじゃなくて
冷やす過程にはさまざまな人間ドラマが隠されている。
大乗教典や日本の仏教の成立過程にも
さまざまな人間ドラマが隠されている。
だから、それらの人間ドラマをどう見るかってことが
要なのかもしれません。






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