2014年4月30日水曜日

【しばしば聞かれるこの質問にがんばって回答した】「キリスト教の三位一体とは何か?」

講義でキリスト教にとっての「三位一体」とは
なにか?という質問が出たんだけど…(以下)


「三位一体」って、それだけで
一生をかけて研究する神学者もいらっしゃるので
おいそれとは簡単に説明できないのであります。

そこをあえて、説明するとして、
三位一体の研究書をご紹介させていただきます。

三位一体の神と救い―現代人のための一論考




この本のゲイヴィン・デコスタの三位一体解釈の解説ページ
P193〜を読んでみよう。

ってかデコスタとはダレスカ

この論文↓を読むとポスト多元主義の神学者だってことがわかる。


まぁ、あくまでもデコスタの三位一体解釈
になってしまうけど、
(仮)でも、いいからいったん誰かの
論に絞って考えないと異論も出てきませんし…

1)デコスタはキリスト中心的な三位一体論を主張した

2)デコスタが解釈した三位一体とはこんな感じ

父なる神はイエスという「人格の特殊性」のうちに自己開示したが
このことについて、普遍化するために神は引き続き聖霊により
歴史を通して常に自己を啓示するのであり、
このプロセスはキリストの再臨によって完成される

…というのがデコスタの論。

3)でもデコスタのユニークなところは
この「聖霊の働き」がキリスト教限定ではない、としているところ

4)デコスタは聖霊の働きについては多元主義なんだけど
キリストの存在に関してはキリスト教包括主義っていう
ところがデコスタ解釈の個性

注:映画に喩えるならば
オムニバス映画と見せかけて最後のシーンが全部繋がって
「あーこれはキリストの長編映画だったんだ」と気がつくような
流れに持っていきたいのがデコスタなのかな…
 
デコスタの三位一体のテーゼはこんな感じ

1)三位一体は基本は多元主義を退ける

2)しかし聖霊論に関してはキリストの特殊性と
人間の歴史における神の活動を分離せずに論じることができる

3)キリスト中心的な三位一体論=
  正しい存在の相としての愛の関係
したがって、ヒンズーや仏教徒への愛は
キリスト教徒の責務である…とデコスタは言う

4)キリストの規範性=自己犠牲的な愛の規範性を内包

5)教会は聖霊の裁きの下にある。
もしも聖霊が「世界の諸宗教のうちに働いているのであれば
諸宗教の存在はキリスト教徒にとって重要な意義をもつ」

うーん、デコスタの論って、一見、他宗教にも愛を持って
接してくれるし、他宗教理解を推進してくれるかと思いきや
結局全然そうではないし、むしろキリスト教中心主義に
他宗教を巻き込んでいる感じがなんともコメントし辛いんですが
それでも、「聖霊の適応範囲を広げることによって
キリスト教を主張しつつ他宗教と対話できる幅」が
つくられていることが重要なのかな。
====================

ここで著者の鳥巣先生の見解が登場するのがP203

*鳥巣先生がデコスタを評価している点
「聖霊のはたらきに注目することによって、神の救いの意志の
普遍性を強調している点」
「他宗教の物語をも自分の領域内で検討する空間を持つべきであるとして
隣人愛を要請している点」

*鳥巣先生が「不十分」と見なした点は以下
イマココにおけるイエスの呼びかけに人々は応答すべき。
人々の日常生活における態度決定に関与するのが
実は既に人々に内在する聖霊の働き…というのが鳥巣先生の論

=======================
<私のコメント>

結局、神学者以外は「父と子と聖霊」をどう考えれば
いいのか?という問題に戻ると…

つまり、「父と子と聖霊」のテーマについては
神学者が独自の解釈をした論が、ものすごい量出されているわけで
そのうちの氷山の一角がデコスタの三位一体解釈。
そして、それをある点では評価しつつ、ある点では批判する鳥巣先生。

こうして、キリスト教神学は日々研究が重ねられているため
質問で「三位一体とは?」と聞かれたときに
おいそれとは回答できないというのが
私の回答であります。

この本にはデコスタの他にもミューレンの聖霊解釈が
載っているんだけど、こちらにも、また神学者の個性
があるのです…

ミューレンだと「聖霊は父と子の間のペルソナにおける我々」
と表現され、「聖霊はイエスへの塗油において顕現する」
(塗油とはイエスの人間本性への聖霊の派遣のこと)
「キリストと人々における聖霊の同一性がキリストと人々を
結びつけている」となって
デコスタよりも聖霊の働きがもっと人間の内側にある
イメージがしますわ。

だから、神学を専門に研究しない場合、
「三位一体とは父と子と聖霊のことで、
三位一体の解釈は
神学者によって異なる見解を示している」と
いう見解が◯だと思うんだ、私は…

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