2014年8月10日日曜日

【シリーズ最終回・暴走族のエスノグラフィーを読む】改造車からスマホケースカスタマイズの時代へ

そもそもなぜこのようなことになっているのか?
と申しますと…

まずこの全米No.1ヒット(注:脳内全米大ヒット)の動画がございまして
(以下の動画、スマホで表示されない場合はPCで)

この動画を深く掘り下げるために
シリーズでこの本を読んでおります。


シリーズその1

シリーズその2:

シリーズその3:

シリーズその4:

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そして今回はシリーズ最終回。
「族にとっての物語性」に踏み込んで参りたいと思います。

まず、「族にとっての物語とは何か」というのを
端的に表現しているのは
やはり映画『下妻物語』のアニメパート
なんじゃないかと思います。

伝説のレディース「卑弥呼」の話が出てくるんだけど
最後の最後にイチコが
「雑誌に投稿したネタ」だということが
明らかにされる。

族文化とメディアの関係性の面白さが
端的にわかると思います。

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本書のP189〜

暴走族関連の出版物のリストが上がっておりますが
族関連の出版物は3つのタイプに分かれるそうです。

1)写真集
2)カタログ(グループの活動状況などをカタログ風に掲載)
3)手記(インタビューなど)

しかし、これら出版物をどう見ればいいの??

というところでありますが…

これに関して、本書では
思わぬところからルーツを引っ張ってきています。

それは「ピカレスクロマン」。

このジャンルは16世紀のスペインではじまったジャンルで、
有名どころでいえば『トム・ソーヤーの冒険」『ハックルベリィ・フィンの冒険』
などがあげられ、このジャンルにおいてはしばしば
「悪」が善のヒーローよりも魅力的に…

以下私の補足========================

と、ここまで書いて、また鷹の爪の話になってしまうんですが
鷹の爪団もあえて「悪の秘密結社」と銘打っているので
ピカレスクロマンの系譜と位置づけていいかも…


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なんだか知れば知るほど鷹の爪が思い起こされる
族カルチャーなんですが…それはさておき

当時の族の手記によれば
マスコミにチーム名が載ると内心英雄気取りで
週刊誌に写真でも載れば大騒ぎで何冊も買って
親にまで見せびらかして得意になる…

との記述が。スポーツでがんばるでもなく、
偏差値競争で勝つわけでもなく、
それでいてマスコミに出てヒーローになれる…
となると、真似する人も多いわけで

昭和54年〜昭和57年の間に150万部の暴走族関連の出版物が
発行され(広義で捉えればもっともっと多い)
そのせいもあってか
族の人数もうなぎ上りであったそうな…

昭和55年には若者の50人に一人という状態にまで増加。

ここで本書が先行研究と違った側面を発揮しているのは

これまでの「学歴社会からの脱落→コンプレックス→爆発」
という視点ではなく、
「中退者にとってはリスクが少ないから」
(大学進学を考えるものにとってはリスクが高すぎる)
と読みかえているところである。

そして、一番重要な指摘が
「暇つぶし」の要素…。
受験もせず、仕事にも意欲が
わかない場合、膨大な暇ができることは
あきらかなわけで、
当時としては
スマホゲームもなく、スポッチャもなく
ニコニコ動画もなかったので
バイクで走り出し、改造をしたわけですな。

以下、私の補足===================

なんだかんだいって、現在の
ヤンキーがマイルドな消費者になったのは
「暇が潰せるようになったから」なんじゃないかと思います。
昭和の時代は打ち込むものがない若者の
暇が潰せなかったから(近くにデズニーもないし)
自分自身でアミューズメントパークを作らねば
ならなかったし、それが改造車だったのでは。

いかしいまとなっては
「イオン」「スマホ」…この2つがあれば
だいたいの暇は潰せることは間違いないし
イオンでバイト先も見つかるので、そこで稼いで
イオンで消費し、隙間時間にスマホゲームをやって
仲間とLINEで連絡をとってダベっていれば
なんとなく大人になれてしまう。

あげくのはてに
マイルドヤンキーなどという
名称までつけられてしもうた…

そういえば、十年前に私がイオンで似顔絵師をやっていた時に
「毎日が同窓会」の状態を間近で見ました。
イオンの渡り廊下に、似顔絵の店を出していると
似顔絵を描いてもらっているお客さんが
通りがかりの人に「あっ何やってんの**」って
声をかけられたり
似顔絵を貼っておくと
「あっ、これ同級生の**じゃん!」
ってパターンが多い…。
(似顔絵もヤンキー文化圏でやたらウケたのは
 オリジナルステッカー作る感覚とどこかで
 共通していたからだと思われます。
 仲間5人で描くパターンとか口コミで流行しましたし…)

だから、現在は
学校・イオン・スマホが郊外の青春で、
カスタムするのは改造車じゃなくて、
「スマホのケース」なのは自然なことだと思う。

10年前にも既に
イオンの渡り廊下で
「ケータイをエアブラシアートや蒔絵で
飾ったりするワゴンショップ」が出店されていましたが
いまは、スマホケースカスタマイズでしょうね。
スマホケースをラインストーンやさまざまなパーツで
飾り立てて(専門カスタマイズ屋さんがあります)
それを分身として扱うっていう郊外の若者の気持ちは理解できます。
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☆ゲストコーナー☆

今回はゲストに月櫻さん・ちゅるちゅるさんをお招きしております。

月櫻さん:なるほど〜だからわざわざシナトラとか使ったんですねえ。強そうでゴロが良いのかな、と思っておりました。私は族が漢字を使うのは、万葉仮名の流れもあるのかな〜?とか勝手に思ってたんですけど……漢字格好イイ!って思うのは、最初は大陸から入ってきた超クールな文化だからで。一般的に使われるようになってからも何処かで、みんなが読めない漢字が使えることに優越感とか秘密性とかを感じるのかな、と先生の考察(前回のブログ記事)
http://riekonaito.blogspot.jp/2014/08/blog-post_9.html
を読んで思いました。平仮名片仮名は女子供の使うもの?


日本人は弥生時代からずっと、外来のものは素晴らしいと思ってきましたからね。と、なると、族文化は欧米(バイク)と大陸(漢字)の、どっちも超格好イイ文化をうま〜く結びつけたのかな? これも日本人お得意の、取り入れて自分のものにして独自に発展させちゃうやつですね。

私:をを!それですわ‼︎それ文化人類学の言葉でブリコラージュというはず。

ブリコラージュ→持ち合わせで現状を切り抜ける意を含む文化人類学用語

ちゅるちゅるさん:ヤンキーの当て字文化がキラキラネーム、難読ネームの発祥に繋がったりしてますかねぇ。ヤンキーっぽい人がキラキラネームつけるイメージがありますので。

私:ってことは万葉仮名→族文化→キラキラ

って流れになるのかなぁ。

そしてキラキラした名前をスマホケースにあしらって
本当にキラキラ輝かせる…と。

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