2014年8月13日水曜日

ヤンキー論考察をいったん整理してみよう【中間報告】

ここのところ、ヤンキー論を展開していたら
さまざまな方面から反応があり
いったん整理しないと収集がつかなくなりそうなので、
整理してみたいと思います。

何を軸に整理していいのか
わからなかったので、
とりあえず、自分の思考・周囲からの反応を
時系列に沿って整理してみたいと思います。
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1)ことの発端は何か?
「現代風俗文化論」でヤンキー文化を取り上げようと思い、
「元祖」から始めたほうがいいのではないか?と
思ったところ、この本に出会った。

http://riekonaito.blogspot.jp/2012/03/13-7-1117.html

その時代時代に、感受性の強い若者が
どういう風にグレていったかを調べて、
そこから時代の空気を読んでいくという・・・
おもしろくて、
なおかつ資料的価値のある一冊です。



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2)↑この本を受けて、じゃあ平成にどう繋がるか?
ということで、この本を読んだのであった。

http://riekonaito.blogspot.jp/2012/03/blog-post_30.html

おもしろいのは、ケータイ小説の読者数が
愛知県がトップだということ。
つまりケータイ小説は東京じゃなくて
愛知県に代表される地方で消費されているんですね。
某所のジャスコで感じた「早熟な文化圏」の謎が解けました。


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3)愛知県に代表される「再ヤンキー化」の現象は理解できたが
逆に、東京のヤンキーカルチャーどうなってるの?
ということで読んだ書籍がこちら


愛知県のような地方のヤンキー文化(中退して早めに所帯持つ傾向)と
東京のギャル&ギャル男文化(基本は大学卒業を目指す)
・・・これらは同じ範疇にあるようでいて
かなり違いますね。


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4)となると、「ヤンキー文化」を包括的に論じた書籍が
読みたいところ…

そこでさまざまな論客を招いたこの本を読みました。


「自分がオタクだから」という理由で
「オタク文化」を語るオタク研究者はたくさんいます。

でも、ヤンキーでなおかつ研究者、という人にはそうそう出会えません。
つまり「自分のこと」としてヤンキー文化を語れる研究者がいないため、
日本の根幹を流れる「ヤンキーの研究」が後手に回っているわけです。

その遅れをイッキに取り戻そうとする勢いが
五十嵐太郎編著『ヤンキー文化論序説』には見られます。

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5)しかし、ヤンキー論を読んで行くと
出版物とヤンキーの密接な関係性が気になるところ。
つまり、ヤンキー漫画やヤンキー写真集があるから
ヤンキーが増えるのか、ヤンキーが増えたから
消費物としてヤンキーものの出版物が増えたのか…

鶏が先か卵が先かの議論になりかねない。

そこで、卵のほう(出版物・創作物)の流れを
整理した書籍を読みたいところ。
そこでこの本の登場です。

社会学の博士号持っている人が書いている珍しいヤンキー本です。



この著者のキャラは
自分はヤンキーではなかったけれど
ヤンキーの多い地域に育ち
中学生の頃に
ヤンキーグループの一人に
「仙人」というあだ名を付けられた・・・という人です。
(おそらく、ひとつの道に打ち込んでいるタイプは
ヤンキーからも一目置かれていたと思うので
ヤンキーグループから「勉強を極めているヤツ」として
認められていたと思われる)

1)ヤンキーは健在か?の問いに答えている
答:「絶滅したとも言えるし、健在とも言える」
(コアなヤンキーは減少したかもしれないが、その周辺には
ヤンキー的なものが広がっている、拡大再生産の兆しも)

2)世間的には「好意的に」受け止められている
(これはなんとなくみんなが感じていたけど
言い切った人は初めてだと思う。ユッキーナが
世間にわりと好意的に受け止められていることからもよくわかる)

・・・・・・が、しかし、
読み進めていくと
わかってくるのですが・・・・・・
この本、リアルヤンキーを描いた本ではなく

「ヤンキーを描いたメディアの歴史を追った本」

なんですね!…でも、これはこれで、意味がある本だと思います。

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6)出版・創作は5)で理解できたとして
昭和のヤンキーのリアルな姿は??といえば
以下の書籍が真摯に取材してあります。



なんだかとってもチープなデザインに??となりますが、
中身は5)よりもこっちのほうが整理されている。
というのは、
「ファッション」「しきたり」「マンガ」
「必須アイテム」「音楽・ドラマ・映画」
「元ヤン芸能人」「ヤンキー用語」に
パッキリ分けてあって

「リアルな話」

「そこから派生したファンタジー」が

区別できる構造になっている。
これは真面目なヤンキー研究本です。
人は見かけによらないといいますが、
本も見かけによらないのであります。

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7)そして、ついに出てきた
心理学からのアプローチ。

心理学からのアプローチとしてはユニークなんだけど、
社会学的に見るとツッコミどころがありすぎる。

しかし、タイトルのつけかた、
表紙のデザイン、古事記と結びつけてしまう強引さ、
総合的に見て本そのものが面白い存在といわざるをえない。
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8)そして、ついに生物学からのアプローチもW

ツッパって生存していけるということは・・・ 
もともとの遺伝子が強いから、とメス(というか人間の女性) 
判断するらしいんですね。渡辺茂先生によれば。

なんかいろいろ思うところはあるけれども
生物学の先生が真面目にツッパリについて
考え、ひとつの答を出したというところに
大いに意義があるような。
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9)日本のヤンキーカルチャーが
途中から細分化して「ヒップホップ系」に流れているので
そこのところもおさえておかねば…

ということで読んだのが以下の本。

アメリカのヒップホップカルチャーと
日本のヤンキー文化の共通項が見えてきて
イッキに視野が広くなります。

えーと、この「起業での成功」が「あがり」の価値観は
アメリカのヒップホップ界にもあるらしく・・・
この本のP230~にその流れが載っています。

1)ヒップホップで成功
2)アパレルやレストランを作って雇用を生みだす
3)幼馴染を雇用(注:フィリップが起業に成功しても
親友吉田くんを大切にしていることとシンクロしてる!)
4)ハイチ出身のヒップホップ系スターは地元に小学校建ててる
5)それどころか、ヒップホップ人気でオバマ当選したかも・・・
6)30代以下の白人の3人に2人はオバマに投票している
(ヒップホップが黒人のイメージを良い方向に変えた)
7)ってか、ヒップホップ系の彼らは成功すると、あっさり俳優になったりする
8)彼らにとって「ヒップホップ」「バスケ」も資本主義に参入する「手段」にすぎない

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10)次に、ヤンキーの縦社会の精神性を考えていたら、
これなんじゃないか?と単なる思いつきで以下の本を参考に考察してみた。

…そしたら、斎藤環氏の「家庭環境が過酷だから」っていう考察に
疑問がわいてきたんです。


この本のP192

1)儒教とは何か。それは沈黙の宗教であり、
共生の幸福論である。

<つまり、自分が儒教の影響下にあるって
気が付きにくいのよ。
日本仏教の中に儒教がすでに取り込まれて
日本に入ってきているので。
仏教だと思っているものの中に織り込み済みなの>

2)儒教は沈黙を守るが、
東北アジア人の感性の本日をつかんでいる

3)静かに生きているのが儒教

4)日本人は墓参りし、先祖供養をする。
これも根本にあるのは儒教なんだな。

5)そして儒教の根本は「考」である。

6)考とは生命の連続を自覚すること

7)親子の絆がここに。
自立はあれど独立はないのが儒教的な思想。

<だから・・・部活動が評価され就職に有利なのも
元ヤンがわりに好意的に受け止められるのも
根本は儒教的な思想にあるのではないかと>

コメント:仲間を大切にする。
絆がなによりも大切。
ってのは儒教の教えなのよ。
本人には自覚がなくても、日本に浸透しているの。
空気が目に見えないように、
儒教も日本の空気の中に自然に浸透しているから
「えっ!儒教?」ってことになる。

斉藤環先生のヤンキー論は
家庭環境が過酷だからヤンキーっていう説があったけど
ケースバイケースだと思うんだよなぁ。

基本的には仲間・家族・地元を大切にして
第二次反抗期は家族から離脱するかもしれないけど
やっぱりその通過儀礼を終わらせると
地元の共同体や家族に戻ると思う。
(もちろん例外もあるけど)
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11)がんばっていれば、後援者も出てくるわけで、
ここでリアル族カルチャーに詳しい師匠(隆太師匠)が彗星のごとく出現し
エドロスの存在を教えてくれました。

ヤンキーカルチャーの価値をもっと高めることができるのではないか?
という可能性を感じたのは隆太師匠のおかげです。


追伸:記事書いたら
佐藤さんから追加コメントが・・・

佐藤さん:日本の族文化はイギリスのモッズ、
ロッカーズ、全て微妙に絡み合ってるとこがオモロイすね!

私:確かに、モッズや
ロッカーズのあたりも入っていますよね。
これまで、ヤンキー文化の造形のルーツとして
「歌舞伎」が挙げられていたり
バロックや、ポストモダンなどが挙げられてきたけれど・・・
イギリスやアメリカ文化をもっと掘り下げたら
もっと違うものが見えてくるように思います。

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12)流れが変わったのがこの本。


ここで広告代理店側が
マーケティングの視点で書いたヤンキー論が出たわけです。

「文化」まで昇華できるかと思いきや、
「おいしい消費者」としてマイルドヤンキーが
分析されてしまったことにより、文化の香りがしなくなってしもうた…。

しかし、原田氏の分析がある意味では「当たっている」ところは
認めざるをえない。
とはいえ、東京の都市部から「マイルドヤンキー層」が見下げられている感が
あまりにアレなので逆照射してみるつもりで13)の記事を書きました。
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13)マイルドヤンキー論に反論


↑とりあえず、「マイルドヤンキー論」を消費しているのは誰だ?
ということを考えてみた。

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14)今度は違う視点で反論してみたいと思い
学生に協力してもらってアンケートを実施。


『ヤンキー経済』でひとくくりにされてしまったものを
丁寧に見るためにも、リアルな情報を集めてみました。
(しかもマイルドヤンキーの聖地・愛知県で
 この調査を行ったことがポイントです)

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15)そして迎えたターニングポイント。

これまでリアルヤンキーカルチャー⇆ヤンキーファンタジーに
乖離していたものを繋いだ大作Flashアニメが登場した。

(以下のアニメ、スマホで表示されない場合はパソコンで)


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16)15)のアニメに刺激を受け、本気(マジ)で取り組まなければ!
と思い、社会学のジャンルで金字塔的な著作となっている
『暴走族のエスノグラフィー』を読む事に。

以下はその記録である。

シリーズその1
シリーズその2

シリーズその3
シリーズその4

最終回
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17)↑を読んだ後に、思ったことは、4)の書籍を深読する必要性があるってこと。

そこで、ここ数日、『ヤンキー文化論序説』を読み直している。

8月11日の読み直し

8月12日の読み直し

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18)ここまで論を進めたところ、SNSを通じてさまざまな方面から
反応があったので、感謝の意を込め、情報を整理しておきます。

隆太師匠:この研究を海外のカルチャーと繋げることに関する指南
ファッション化していく転換期に「特攻の拓」があるという考察など

月櫻さん:万葉仮名からの考察

ちゅるちゅるさん:キラキラネーム、特攻の拓のステッカーの重要性

カオリさん:ガールズカルチャーとの融合に関し、下妻の原作の該当箇所を教えてくれた

しーもあさん:「講」との類似性を指摘(ステッカー=千社札という斬新な視点)

氷川博士:地図の活用のアイデア

モトジィ:ゼロ年代カルチャーの終焉と人口と経済を研究に取り入れることを提案

しみー師匠:バンド「外道」に関する情報
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以上、中間報告でした。

果たして、この研究は

ピリオドの向こうに辿り着けるのでしょうか??



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