2014年12月30日火曜日

サブカルはどこから来てどこへ行くのか〜『戦後サブカルチャー史』✖️『カフェでよくかかっているJ−POPのボサノヴァカバーを歌う女の一生』

今日、Twitterで「コンピューターおばあちゃんという曲が
あるのならサブカルおばあちゃんがいてもいい」
とつぶやいたところ、共感してくださった方が
いらっしゃったので…
具体的に「サブカルチャーおばあちゃん」を
イメージしようとしてみましたが
どうも「サブカル」のイメージが
漠然としすぎている。
(小森のおばちゃまや「塩沢とき」のイメージが
 一瞬脳裏をよぎりましたが
 それともちょっと違う気がするのです)

もっと…サブカルってなんなのか
(もしくは何だったのか)
「直視するべき」だと自省したんですよ。

そこで、サブカルは「どこから来て」
「どこへ行くのか」を
ちゃんと分けて考えるべきだと思ったんです。

まずは「どこから来たか??」ですが
おそらくこの文献がよろしいかと思います。



サブカルに教科書はないけれども
あえて高校で
「サブカル」という科目ができたと仮定しましょう。
(あくまでも仮定です)

そんなとき、教科書選定をするチームができたと
仮定しましょう。(あくまでも仮定です)
でも、「万人が納得できるサブカルの教科書って
果たしてありえるのか?」という会議が延々と続き…
そんなときに誰かが「この本はどうでしょう?」と
持ってきたら、「ああ、これだね!サブカルの教科書」
「これなら教材としても使えるね」と多数決で決まる…
そんな感じのサブカルの歴史の本です。

1)日本で最初に「サブカルチャー」という言葉が登場したのは
1968年。「美術手帖」の2月号だったそうです!
(ここですでに目からウロコですよ!)

2)ちなみに、サブカルチャーとカウンターカルチャーは別種

3)サブカルチャーの出発点は1956年のアメリカ
(なんでこの年なのか?は本書にて)
日本の内閣府が「もはや戦後ではない」という言葉を
経済白書にも出した年でもあります。

4)サブカルチャーとは何か?をあぶり出すときに
「上位のもの」として、まずは
演劇・建築・オペラ・バレエ・能が出てくる。

が、ここでこの本が素晴らしいと思うのは、それを
(決定)としないで(仮)の定義にしておいて
「上位文化」と「下位文化」のシャッフル
の可能性を提示していること。

*なにが「上位」なのかは時代によって異なる。
*だから時代によって「サブカル」は異なる。
*「カウンターカルチャー」に関しては
その時代の「上の文化」に立ち向かっていく文化のこと。

↑この3点の基本を抑えているようで抑えていない論が
多いので、まずはこの3点の「定義」から入っていることで
すっきり読める。

続きは本書をお読みになれば良いかと思います!

ただし、この書籍、「サブカルがどこから来たか」については
明快にわかる良書なのですが
「どこに行くのか」の部分がかなり曖昧にしてあります。
というか、そこを明確に書いてしまったら
「サブカル史」というよりは論になってしまうと
思うので、それで正解だと思うんであります。

どちらかといえば、それよりも
NHKがサブカルを「歴史」にして
それを放送、テキスト化したという事実が
サブカルを別種のものに変質させた…
その歴史的な記念碑(みかげ石で出来た巨大な碑をイメージ)
としてこのテキストが存在すると
思うんです。
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じゃあ、サブカルはここからどこへ行くのか?

という指標になりそうな作品として、

本日つ・い・に読んでみました↓




しかし、まさかの漫画でした。
てっきり小説だと思ってました。

なんとなく
「書籍で読んだら手がプルプルしそうなのでKindle版まで待とう」
と思ったら、Kindle版になっていたので
Kindleで読みました。案の定、Kindleで読んでよかったです。
書籍(紙)で読んだらいろいろな意味で刺激が強すぎます。

この漫画、「サブカル」を描いたわけじゃなくて
「サブカルをアイデンティティにしようと挑戦した人が
さまざまな結末を迎えるというオムニバス作品」なんですな。

しかし、よくある「サブカル批判」じゃなくて
「サブカルの多様性」を丁寧に描いているので
その多様性のなかに「次世代への希望」が見えた。
そして多様性を描くとしたら
オムニバス方式でしか描けないと思うので
この方式はなるほど納得でした。

オムニバス各話の簡単な感想は以下

*ボサノヴァのカバーの女性:
サブカル無間地獄とは
このことか!と圧倒させられる。
しかし、一応の「ゴール」があった。
その「ゴール」も物凄い「わかる」「解せる」
ものであった。これだけでも読む価値あるし
映画化して欲しい。
というかこの漫画、全編映画化希望!
監督は大根仁監督にやって欲しいです。
『恋の渦』http://riekonaito.blogspot.jp/2014/11/blog-post_26.html
のサブカルバージョンとして、この映画もできるはず!

*ダウンタウン以外の芸人を認めていないマニアの話:
絶望感で終わる話。たぶん、「サブカル」に関する問題は
趣味とか自意識の問題じゃなくて、結果的にそれで
「心根が曲がっちゃうか、否か」が
問題であることに気づかされた。
これも映画化して欲しい。

*バンプファンのブロガーの話:
寺院巡りが趣味の女性がさりげなく出てくるのが
実は重要なポイントであり、
「若者にとってのカルチャーとしての寺院」が
もう既に描かれている。
バンプのファンと寺巡りの女性が
「カメラ」が縁で繋がるってところが絶妙。
ラストは「あるある話」的な感じ。

*おいしいところを持って行かれるライターの話:
おいしいところを持っていく「売れっ子」のほうは
誰がモデルになっているのか、なんとなくわかったし
(わかったけど書かない:ヒント「ローマ字読み」)
ギョーカイの人がどういう認識で彼を見ているのか
(見ていたか)もわかった。

そして彼の下でさんざんな目にあった
主人公がめげずにイチからコツコツと
仕事をとっていくラストの姿。

ここに、次世代への希望を見出すことができたし、
「サブカルはどこへ行くのか」という
答えのひとつがここにあると思う。

カウンターカルチャーとしての紙媒体の可能性を信じる
若者が、長い下積みを重ねて
「次世代のカルチャー」をつくっていくのではないか??と思えた。
一筋の光明が見えた感じがした。

しかも結論がかの有名な詩人の思想なんです。
(ヒント:雨にも負けないあの人ですが、ここで出てくるのは
 雨にも負けないあの詩以外の
 マニアックな詩なんだよね…そのチョイスが玄人)

煩悩うずまくサブカルギョーカイで
一人前になるにはここまで精神を強く持たねばならぬのか!
と深く考えさせられる。

この主人公の場合は、最後にライターとしての努力を
コツコツし始めたんだけど
「サブカル系ものづくり」の場合も同じかも。

この漫画、オムニバスになっているところが重要で
たとえ「サブカルで、あわよくばおいしいことはないか」
と始めたとしても途中から
「本当にコツコツやる気があるか否か」が
登場人物の人生の分かれ目になっている。

旧世代の「サブカル的なノリだった人」
は書籍や漫画にパッケージされて
過去のものになっていくけれども
「それでも這い上がってくる根性のあるやつは這い上がれ」
というサブカルの匠(さぶかる・の・たくみ)からの
メッセージを感じる。そこが好きです。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
サブカルって不思議なジャンルで「うまくいけば楽してオイシイ感じ」
「魔法のびっくり箱」のように見えた時代もあったんだよね…
たぶん、そういう時代もあったんだと思う。
私は上京したことがないから分からないけれども
カルチャー誌で当時のサブカルスターの
回顧録なんか読んでいるとそんな印象を受けます。
90年代のサブカルスタァがあるカルチャー誌で言ってた。
「正しい時代だった」って。
「そのギョーカイのなか」にいた人にとっては
圧倒的に「正しい時代」に思えたのだろう。

私はそのような「東京カルチャー」を
「愛知県のヴィレヴァン経由で追いかける」という
精神衛生上よろしくない
アンビバレントなことをしているうちに
20歳になり、30歳になり、
35歳になった。

が、この漫画を読んでいると、自分の場合は
上京しなくて良かったのではないか?とも思えてくる。
もし、自分が若いうちから
東京のサブカル渦中にいたら
その蠱惑的な世界に魅せられ、
おそらく跡形も無く完璧に呑み込まれていたと思います。
いや、上京しなくても、
確実に影響は受けたと思うんだけど、
そもそも地方という「諦念」から動いていないので
どうなろうと振れ幅がそこまでデカくない…というのはある。

とはいえ、いまだに、「新宿の伊勢丹で難しい名前の
ケーキを食べること」に夢を見ていられるのも
上京しなかったおかげでしょうな…。
(今年は原宿と中野に行くことが
できましたが、やはりまだ未知の領域が多いです)

サブカルはどこから来て、どこへ行くのか?
の「どこへ行くのか」の部分に答えがあるとしたら
個人の精神性次第、という
答を示唆してくれるこの漫画作品『カフェでよくかかっている…』は
他のサブカル系論者の作品よりも好きだな。
懸命にカウンターカルチャーを作ろうとする
次世代がいる限り
次なるカルチャー創造への希望がきっとある…
と感じさせる漫画だった。
「朴訥にがんばること」への希望を残してくれる作品は良いな。

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